では「差額ベッド代」や「入院時所得保障」を担保するために「医療保険」に入るという選択をどう考えたらよいのでしょうか。
販売されている「医療保険」の典型的なパターンは入院したら1日につき5000~1万円を180~360日間を限度に支払うというものです。そうなると、金額としては90万~360万円をもらうために医療保険に入るかどうかの判断になります。当たり前のことですが、すでに360万円の貯金がある人は医療保険に入る必要がありません。ではそこまでの貯金がない人はどうでしょうか。360万円を貯めるまでは保険に入った方がよいのでしょうか。
ここでの判断材料として大切なのは、医療保険の中には保険会社の手数料が含まれていることを知ることです。公表されていませんが、医療保険は保険料の約40~50%が手数料のようです。すると保険会社にこれだけの手数料を取られてまで医療保険に入るのか、それともそんな手数料を払うことなく自分で貯金を始めるのか、大きくはこの選択になります。
多くの人は、すぐに貯金を始めると思います。しかし健康に自信がなく、近い将来病気になりそうだ、と考える人は医療保険に入るかもしれません。ところがそのような人は通常保険加入に健康面での制約がありますので、入れなかったりします。入れてもその分保険料が割高になりますので、あまりお勧めできません。
本当に所得を保障する「医療保険」とは?
保険はめったに起こらないが、起こった場合には自分の貯金では対処できない事態に備えるものです。その意味で、実態が所得保障である日本の医療保険を考えると、保険が本当に必要になるのは貯金が底をついてしまった時です。1カ月の生活費が30万円だとすると、180万の貯えがあれば、半年間入院して、その間無収入であっても暮らしていけます。ただ入院がそれ以上長引くと、貯金が底をつき生活できなくなります。このような場合にこそ、本当に所得を保障する保険が必要となってきます。
たとえば、入院日数が半年を過ぎれば、その後はずっと入院1日につき1万円払われるような保険です。半年以上の長期入院はめったに起きませんので、保険設計上は、その分、保険料が安い保険になります。ただし、そのことは、保険金の支払われる人が少ないということでもありますから、大半の人はこの医療保険に入っても保険金をもらえず、払い損するわけです。でも、本当に所得を保障しようとするならば、これこそがホンモノの保険なのです。
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