数学のソリトン理論で渋滞、津波を解明--『とんでもなく役に立つ数学』を書いた西成活裕氏(東京大学先端科学技術研究センター教授)に聞く


──津波も、渋滞と同じ微分方程式で解が求められるようですね。

微分方程式を応用したソリトン理論を使う。エネルギーの塊がぼーんと勢いよく飛んでいくような現象を表すのに、これが適している。私の専門は数理物理学で、数学と物理との中間のような分野を研究している。わかりやすくいえば流体力学だ。車や人を流体と見なした研究で数学を使う。そこでの有力な理論がソリトンだ。

津波は、形を変えずに伝わっていく高い波。そのうち崩れる。こういう現象はソリトン理論が出てくる前の数学や物理学では解けなかったが、1960年代にソリトン理論を使って計算された。現在の何分後に津波が来るという警報は、この理論を使っている。先を見越せるのが科学の力だ。中でも数学、特に微分は先を見通す強力な道具になる。

──微分が強力な道具に?

数学でも、いちばん大事なのは微分であり、人類が作った最高、最大の武器だ。ただ、従来の微分についての説明ではイメージがつかみにくいので、微分=スローモーションという考え方を唱えている。

こう考えると、生きた使い方ができる。微分・積分と聞くと、どうしても学生時代に「わずかにわかる、わかったつもり」と揶揄されたのを思い出す人がいるかもしれないが、社会現象のモデル化、さらに予想をするうえで、いかに微分が有効かわかってもらいたい。

数学が現実を理解するためのものばかりでなく、いかに人々の生活に役立っているかわかってほしい。数学力があれば、科学分野の理解も容易になる。逆に数学の力がないと、眼前でシャッターを下ろされたも同然になって、先に進めない。その中でも、最も強力なのが微分だ。数学一般ではなく微分が使えるだけでも、いろいろな分野にすーっと入っていける。いわば科学を理解する基礎だ。これを身に付けたらビジネス界でも圧倒的な強みになる。

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