32歳校長「国公立大0→20人合格」させた凄い改革 定員割れだった「福岡女子商業高校」の奇跡

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そんな中で出会ったのが福岡女子商業高校だ。もともと町立だった同校は、2017年に私立になり入学希望者が激減。1学年240人定員に対し100人に満たない状態が続いていた。

卒業生の半数以上が地元企業に就職する現状から、選択肢を広げることで同校を立て直そうと、公立校の体育教師だった女子商の校長が自ら神戸星城高校まで小論文の指導について問い合わせたことがある。それを知った柴山さんは女子商を訪ね、熱心な校長に魅かれて、2020年4月、29歳で同校の教師になった。

授業のため教壇に立つ柴山さん。授業の最後に「ありがとうございました」と挨拶する生徒たちに対して、「ありがとう」と笑顔で応じていた(写真:筆者撮影)

同校で4年制大学に進学する生徒はごく少数で、国公立の合格者は数年に1人という状況だった。柴山さんは国語の授業を担当しつつ、課外で小論文の指導をすることに。

遠巻きに見ていた教職員に「先生方にご迷惑はかけません。国公立に推薦で行きたい生徒を集めて、課外で指導させてください」とお願いした。

国公立を目指す3年生は116人中1人だけ

小論文の指導は、3年生が対象。柴山さんが着任時、国公立大を目指すと表明する3年生は116人中1人だけだった。しかし、柴山さんが説明会で「小論文による推薦で国公立を目指そう」と呼びかけると、30人近く集まったという。なぜだろう。

「やる気があれば合格できるという僕の声かけが、彼女たちにとっては新鮮だったようです。生徒に女子商に来た理由を聞くと『女子商しか行けんって言われたけん』という答えが大半で、自己肯定感がとても低い。だから最初は僕のことを詐欺師と思ったという生徒もいて、半信半疑でも予想以上に集まってくれたことがすごくうれしかった」

3年生になって推薦入試のピークとなる11月までは、わずか8カ月。まずは前任校の卒業生から借りてきた先輩の「小論文ノート」を見せると、みんな「へーっ」と言いながら見よう見まねで自分のノートを作っていく。

「高齢化」「多文化共生」など時事のキーワードごとに事実や自分の考えをまとめた「小論文ノート」。「生きる上で必要な思考力や表現力が身につきます」と柴山さん(写真:筆者撮影)

指導は週1回60分から始めて徐々にペースを上げる。「指導の基本は褒めること。みんな本当に受かるんだろうかという不安はあったと思いますが、一生懸命に取り組んでくれました」。

職員室では「あんなに頑張って受からなかったらかわいそう」という声も漏れ聞こえてきたが、柴山さんは生徒たちを信じ突き進んだ。結果として、推薦入試で長崎大学や佐賀大学などに20人が合格。校長は「バンザーイ」と喜び、教職員の雰囲気も一変したという。

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