32歳校長「国公立大0→20人合格」させた凄い改革 定員割れだった「福岡女子商業高校」の奇跡

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国公立大の合格者を出したことで地元の新聞に取り上げられ、中学校への広報活動などにも力を入れたことが功を奏して、わずか1年で女子商は注目される存在に。

そこで、思いがけない出来事が起こる。

67歳だった校長は法人の定年を過ぎていたため退任し、かわりに理事長が校長を兼任して月1回だけ登校するというのだ。柴山さんはたまらず理事長に直訴した。

「確かに進学実績で注目されるようになったけど、女子商にはもっと可能性がある。生徒たちはすごくピュアで、火が付くと本気で頑張ってくれる。さらにいい学校にするために、前の校長を継続させてほしい」

気が付けば4時間にも及ぶ熱弁に、理事長の口からまさかの言葉が。「きみが校長をやればいい」。

「そこまで言うならきみがやってみればというトーンで、本当に驚き、考えさせてくださいと応じるのが精一杯でした。着任2年目で30歳の自分が校長になったら、生徒や保護者や教職員がどんな反応をするのかまったく想像できず、非常に怖かった。でも3日考えて、校長になろうと決めました」

生徒が挑戦しているから、自分もチャレンジする

なぜ決断したのか。「女子商に来て、生徒たちに挑戦しようと言い続けていたのに、自分ができなければずっと引け目を感じるに違いない。それに、こんなに普通の僕が校長になれば、あいつにできるなら自分にもできると教育界の人たちが前向きになるかもしれないと思ったんです」。

2021年4月、校長に就任した柴山さんは「5年で日本一の商業高校をつくる」と宣言した。そのために掲げたテーマは「挑戦を、楽しめ。」。

新たな学校の形に挑戦したいと話す柴山さん。2023年6月に著書『きみが校長をやればいい』を出版した(写真:筆者撮影)

学校へ向かう坂を上がると「挑戦を、楽しめ。」と書かれた看板が見えてくる。「登校してくる生徒たちの顔が上がるように、目に入るところに設置しました」。そして、生徒たちには最初にこう話したという。「この学校で一番挑戦するのは僕だ。ダサい姿を見せるかもしれないけど、一緒に頑張っていこう」と。

校長になって、今年で3年目。小論文の指導により、国公立大学に合格者を出し続けている。そもそも生徒たちはなぜ国公立大学への進学を希望するのだろうか。

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