有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #原発再稼働の是非

経産省案「原発比率20~22%」は非現実的だ どうする電源構成<3> 九州大学・吉岡教授

7分で読める 有料会員限定
  • 中村 稔 東洋経済 編集委員
2/2 PAGES

――政府は「原発の新増設やリプレース(建て替え)は想定していない」という民主党政権時からの方針を維持したまま。今回の有識者委員会でも新増設やリプレースの議論は避けたが、「原発比率20~22%」という目標を理由に将来、政府方針を変更するのでは。

新増設の計画は、上関原発の新設や敦賀3・4号機、川内3号機の増設などすでに10基近くあるが、経産省はこれらの計画を実現させるチャンスをうかがっていると思う。原子力小委でも福井県知事がリプレースの必要性を強調しているように、立地自治体当局が計画推進をプッシュしていて、原子炉メーカーも矢面に出ないだけで造りたがっている。今回の経産省案には新増設、リプレースは書かれていないが、今回の電源構成決定に合わせて、6月から再開される原子力小委でリプレース案がひょっこり出てくる可能性がある。だが、実際にそれができるかは別の話だ。

信頼性低い発電コストの試算

――経産省が発電コスト検証ワーキンググループで出した発電コストの試算についてはどう思いますか。

よしおか・ひとし●1953年生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。同大学院理学研究科科学史修士課程修了、村上陽一郎、中山茂に学ぶ。1983年同博士課程中退、和歌山大学経済学部講師、同助教授を経て九州大学教養学部助教授、同比較社会文化研究院教授。専門は科学史、科学社会学。90年代からは特に原子力に関する社会史的研究に力点を置いている。著書に『新版 原子力の社会史 その日本的展開』など

こういう試算は無意味であって、歴史的にも政府は1980年代から常に原発がいちばん安いという数字を出し続けてきた。電力会社が原発や火力発電所のコストを比べられるようなデータを出していない。いろんなコストがどんぶり勘定になっていて、実証的データがない。こういう試算を政策の根拠にはすべきではない。民主党政権になって(事故リスク対応費用や立地交付金など)いろんな費目を入れるようになったのは多少の改善だが、依然としてデータ自体の信頼性が低い。バックエンド費用(廃炉や廃棄物処理の費用)があんなに安く済むとは考えられない。大幅に高く振れる可能性は高い。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数