観光資源の「過保護ライオン」が生んだ悲しい現実 日本人サファリガイドが南アフリカで直面したこと

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ライオンは1日20時間近く寝ると言われています。サファリ中にライオンを見つけても、気持ちよさそうに寝ている様子を見かけることがほとんど。

「ライオンって怠け者なんだ」「百獣の王は野生の世界でも優雅に暮らしているんだなぁ」なんて思った人もいるかもしれません。もちろん実際にはそんなことはありません。野生のライオンの一生は、私たちが想像するよりもはるかに壮絶なのです。

ライオンの大切な仕事は、自分の縄張りを守り、狩りをすること。縄張りのパトロールや、獲物探しのため、夜になると活発に動き出します。夜行性の彼らは体力を温存しておくため、昼間の暑い時間は日陰でお昼寝しているのです。

オスの子供は2歳頃に群れから追い出される

ライオンは「プライド」と呼ばれる群れで生活しています。プライドは1〜数頭のオスと10頭前後のメスや子供で構成されるのが一般的です。多くの場合、母と娘、姉妹、従姉妹など、血縁関係が近いメスや子供たちが一緒に過ごします。リーダーとなるオス数頭は常に一緒にいるわけではありません。交尾や狩り、食事など様々なきっかけがある際に合流することが多く、普段は別々に過ごしています。

メスの子供は大人になってもプライドに残ることが多いですが、オスの子供は2歳頃になると追い出されてしまいます。なぜなら、自分の子供とはいえ、オスであればリーダーの座を奪われかねないライバルとなるからです。

また、メスが自分たちの獲物を若いオスに食べられないように攻撃的になり、結果的に追い出してしまうこともあります。人間だと2歳はようやくしゃべり始めた頃ですよね。ライオンの2歳は繁殖できるくらいに成長した年齢であり、単純な比較はできませんが、ライオンの世界、なんともシビアです。

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