82歳で肺がん「たばこを禁止」にした家族の決断 和田秀樹さんが語る「80歳の壁」を越えてからの生き方

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養老先生に限らず、かなりのヘビースモーカーでも100歳まで生きた人もいますし、逆に、たばこを吸わなくても肺がんになって死んでしまう人もいます。それは当たりくじのようなもので、自分が当たりくじ側にいて長生きするのか、はずれくじ側にいてがんになってしまうのかは、いまの医学では誰にもわかりません。

あくまでも、がんになるリスクの大きいものがなんであるかという話であって、「絶対」はないのです。ですから、たばこを吸うと気分がいい、ホッとするというのに、先々の不安や心配事から無理やりたばこをやめたりやめさせられたりしてイライラするくらいなら、気分のいいほうをとったらいいのではないでしょうか。

わたしの友人の祖父は82歳のときに肺がんが見つかり、医師には「もう手遅れで手術もできない」と言われ、家族には「がんが進行してしまうから、たばこはやめなさい」と取り上げられてしまいました。

それでなくても、がんと宣告されてショックを受けていたのに、そのうえたばこまで取り上げられてしまったので、「オレはもう死ぬんだ」と言って、うつ状態になってしまいました。

ある日、その老人はたばこが原因でがんになることがあっても、たばこのせいでがんが進行するわけではないと開き直りました。その老人は再びたばこを吸いだすと見違えるように元気になり、そのあともたばこを吸い続けて10年、92歳まで生きました。最期は肺がんではなく、脳出血で亡くなりました。

いつ死ぬかなんて誰にもわからない

わたしの血圧や血糖値、コレステロール値は、一般的に治療が必要とされる数値ですが、わたしは快適に暮らしていくため、自分なりに治療を受ける受けないを判断しています。これは自らのからだを使って人体実験をしているので、正直、何歳まで生きられるかはわかりませんし、70代、はたまた60代のうちに致命的な支障をきたしてしまうこともあるかもしれません。

しかし、80歳の壁を超えることができれば、なんらかの問題を抱えていたとしても、この80代もストレスなく愉快に生きられるはずだと思っています。なぜなら、一般的に「要治療」とされる数値であっても、自分の判断でどうするのか=対策を決めていますから、それに対する不安や心配事などないのです。

いくつまで生きられるか、それはわたしも含めて誰にもわかりません。これを心配しても始まりませんから、ただ自分の好きなことや楽しいと思えることを続けていくことが大切だと思っていますし、これは80代となっても変わらないはずです。

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