82歳で肺がん「たばこを禁止」にした家族の決断 和田秀樹さんが語る「80歳の壁」を越えてからの生き方

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人生100年時代、「80歳の壁」を越えてからの生き方について(写真:Ushico/PIXTA)
人生100年時代が叫ばれ、平均寿命も上がっています。ですが、老後資金の枯渇問題、健康や認知症といった老いへの恐怖などなど、不安を抱えている方は多いと思います。そんな暗雲垂れ込める人生100年時代をどう過ごしたいいのでしょうか?
30年以上の長きにわたり、高齢者医療に携わってきた医師の和田秀樹さんの著書『わたしの100歳地図』より一部抜粋し再構成のうえ、「80歳の壁」を超えてからの生き方について語ります。

不安、心配事のない人などいない

多くの人は、年齢を重ねることに相関して「老い」への不安や心配事が増えてくるものです。ところが、不安や心配事を相談したくても、一般的に日本の病院では、病名がついてないと保険診療を受けることができないため、老いや老後の不安のために医師に相談し、診察を受けることはなかなか難しいのが現状です。

いままさに苦しくて、つらい症状があるから病院にかかるわけで、先の不安よりもいまの苦痛をなんとかしてほしいという人のほうが圧倒的に多いので、医師や病院が不安の解消まで手が回らないのは当然のことと思います。

それではシニア向け自費診療のクリニックはどうかというと、多くは若返りと老化予防のケアがメインとなるアンチエイジング治療を中心にしているため、先々の不安、心配事についての相談はなかなかしにくいものがあります。

わたしも長い間、高齢者をはじめ多くの方の診察をしてきましたが、患者さんの口から直接、先々の不安についての悩みを聞くことはあまりありません。しかし、語らずとも多くの患者さんに不安や心配事があることはわかります。

養老孟司先生と対談したときのことです。

「ぼくは世の中、理屈どおりにいかないと思っているから、医者の言うことも聞かないんだよ」とおっしゃって、たばこをスパスパ吸っていました。

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