「プレゼン上手」が内容以外にしている3つの工夫 わかりやすさは「安心感」からきていることも

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③ もう1つ先をフォローする

そして、最後にもう1つ意識できるとよいことが、余計な考えをめぐらさずに話が聞ける環境をつくるということです。何かを伝えた際に、さらに聞き手がどういうことを想起するかということをイメージしていくことで対応ができます。

例えば、「質問の時間が最後にあります」ということを伝えると、「逆に最後の時間までは質問はしてはいけないということなのか?」といった疑問が聞き手には浮かびます。

また「途中でもよいので、自由に質問して構いません」と伝えると、「本当に何でも聞いてよいのか」といった反応が想起できます。その反応まで予測して、さらに一言補足ができないかということを考えるようにしましょう。

この先何が起こるのかを知っているのは、話を準備しているあなただけです。逆にそれはあなただけが知っていることですので、予め伝えて害のないものは積極的に共有していくことが大切です。

ここまで考えてきたことをまとめておきます。

双方向のコミュニケーションを意識する

まず、伝える内容は、伝える中身だけではないということです。

伝える内容=伝える中身そのもの+構成+かかわり方+フォロー

伝える中身以外に、どのように話をする予定なのかという構成、その進行に対してどんなかかわり方でいられるのか、さらに、構成やかかわり方を伝えた際に、聞き手が感じるであろうことへのフォローなど、伝える中身以外にも伝えられることがあります。

これらは、実は聞き手のことを考えて設計できることですし、広義な意味での伝える中身ということもできます。わかりやすい人の話は、実はそこまでが自然に織り込まれており、それがわかりやすさにつながっているのです。

最後に重要なポイントが1つあります。コミュニケーションは「話し手」「聞き手」という構図で物事を考えてしまいますが、本来、双方向性を持った営みです。一方向で話すこともできなくはないですが、双方向に参加者側からの声を拾うことも大事なことです。

例えば、手をあげてもらうといったことも立派な双方向のコミュニケーションの手段です。また、参加者同士で話をする機会を設けるといった場づくりも意外に有効です。与えられた時間と空間を話し手が100%占有する必要もありません。伝える場を全体で創っていくということにつながる働きかけも同時に意識していきましょう。

岡 重文 グロービス経営大学院教授

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おか しげふみ / Shigefumi Oka

京都大学大学院工学研究科応用システム科学専攻修士課程修了。工学修士。大手情報システム会社、コンサルティング・ファームを経てグロービスに入社。企業研修担当、eラーニング事業の立ち上げに関与したのち、経営管理本部で、情報システム部門ならびに人事・総務を統括。現在はファカルティ本部で「クリティカル・シンキング」「ビジネス定量分析」「テクノベート・シンキング」等のコンテンツ開発や、講師の育成業務にかかわる。

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