「プレゼン上手」が内容以外にしている3つの工夫 わかりやすさは「安心感」からきていることも

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これから30 分の時間をいただいて、説明をしていきます。最初10 分ほどで、お伝えしたいことの背景を、その後15 分ほどで具体的な提案を述べさせていただきます。最後5分は質問の時間を設けたいと思っています。ただ、途中でも構わないですので、気になったことがある場合は遠慮なく、言ってください。その場で回答するかどうかも判断しながら進めていきたいと思いますので……

普段、似たような説明を聞いたことがある人も多いと思います。当たり前のように感じる人もいるかもしれませんが、何がこの後、起こるかを伝えて話を始めることは重要です。なぜなら、聞き手は、どういった想定で話を聞けばよいのか予測ができるからです。それによって、これからの話を安心して聞くことができます。少し丁寧にメッセージの意味を整理しておきましょう。

重要なのは構成を伝えること

まず、冒頭の「これから30分時間をいただいて~(中略)~最後5分は質問の時間を設けたいと思っています」について考えます。

これは、30分の時間が、10分(背景)+ 15分(提案)+ 5分(質問)で構成されることを伝えています。構成が伝えられないまま話が始まると、聞き手はどんな30分になるのかがわからない中で話を聞かなければなりません。構成がわかることによって、何にどのぐらいの割合を割いて話が進むのかということについて、イメージを持つことができます。

今回の例では最初の10分は、次の15分の本論のための準備であるという認識を持つことができます。それによって、「早く本題に入ってくれないかな」とか、「この話は何と関係があるのだろう」といった余計な考えを持たなくても済みます。また、最後に質問の時間が「ある」ということが明示されることも聞き手にとって有益な情報の1つになります。

次に後半部分の「ただ、途中でも構わないですので、気になったことがある場合は遠慮なく、言ってください」を考えます。

これは、質問の時間を最後に設けるものの途中で中断して質問してきても構わない、言い換えると最後の5分まで待たなくてもいいということを伝えています。つまり、25分の間、どういう姿勢で聞いていればよいのか、かかわり方について明らかにしていると言えます。

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