ニデック永守会長、総会で耳目を集めた2つの発言 過大配当から後継問題まで「永守節」がさく裂

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ニデックでは自己株の取得枠を1月に決めており、例年の取得額は200億円に満たなかった。2022年は年初に500億円の取得枠を設定。2月までの取得額が計432億円に上ったため、永守氏が自己株取得枠の再設定を検討するよう、業務を担当する財務部に指示を出した。

だが、自己株取得の業務を行っていた財務部では、当時かかわった従業員や役員に、自己株取得に分配可能額規制が適用されるとの認識がないか薄いまま取得枠が再設定された結果、規則違反となった。最終的に、2022年9月から2023年3月の間に実施された87億円の自己株買いが分配可能額規制に違反していた。

2023年3月期に行った201億円の中間配当も、全額が規制に違反していた。配当にかかわる業務を担っていた経理部では、退職等による担当者の交代が頻繁に生じていたにもかかわらず、分配可能額規制について具体的な業務マニュアルが作成されていなかった。

外部調査委の調査報告書は、規制に違反した直接の原因はニデック社内にあったと指摘。ただ、業務マニュアルや稟議体制などが存在はしたため、ニデックの取締役が部下を信用して自己株取得や配当の適法性を確認しなかったことは「必ずしも不合理とは言えない」として、取締役は「職務を行うについて注意を怠らなかった」と結論づけた。

「炭鉱のカナリア」はやらなあかん

しかし永守氏の株主に対する発言でも明らかなように、会計監査人であるPwC京都監査法人への恨み節は強い。規制違反を公表した6月2日のリリースでは、「PwC京都監査法人も分配可能額の超過を、見落としにより、指摘できていなかった」と記載したほどだ。

4月1日に日本電産からニデックに社名変更されたばかり(記者撮影)

分配可能額規制をめぐる株主とのやりとりは、永守氏が押し切った格好だ。「ニデックがダメだというならこの会社の株を売ったらいい」と怒気を含んだ声で話すと、会場にいた株主からは拍手が沸き起こり、そこで質問者の株主の発言は止められた。

分配可能額規制違反と並んで、永守氏の発言に株主が聞き耳を立てたのが、後継者問題を語った場面だった。

ニデックでは2022年9月に関潤社長兼COO(最高執行責任者・当時)が業績悪化の責任を取る形で辞任。創業メンバーの1人で副会長だった小部博志氏が社長兼COOに就任した。日産自動車副COOだった関氏を含め、後継者候補と目される外部人材を登用してきたが、いずれも永守氏の眼鏡にかなわなかった。

次ページ永守氏が後継者に求める条件とは
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事