ニデック永守会長、総会で耳目を集めた2つの発言 過大配当から後継問題まで「永守節」がさく裂

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ニデックの永守会長兼CEO
ニデックの永守会長兼CEO。写真は2021年11月の取材時(撮影:ヒラオカスタジオ)

「永守節」は変わらず健在だった。

6月20日、モーター大手のニデック(旧日本電産)が、本社のある京都で株主総会を開いた。名物ともいえるのが、創業者で会長兼CEO(最高経営責任者)である永守重信氏(78)の巧みな話術だ。

永守節は総会の序盤からさく裂した。「向こうからやってくれと頼まれて嫌々やっている」。冗談めかしてそう話したのは、ブラジルの大手航空機メーカー・エンブラエルと6月18日に締結した契約についてだ。

2社で合弁会社を設立し、「空飛ぶ車」とも呼ばれる電動垂直離着陸航空機向けに、電機駆動システムを供給する。口では「嫌々」と言うが、巨大な市場に成長すると見越して「われわれは研究開発をやってきた」(永守氏)と胸を張る。軽薄短小の技術が評価されていると強調した。

質疑応答は出席した株主からの万雷の拍手を浴びて始まった。株主の質問は幅広い内容だったが、中でも耳目を集めたのは6月に発表したばかりの「分配可能額規制違反」と後継者問題についてのやりとりだ。

「分配可能額規制違反」に気色ばむ

「上場している大企業の取締役のほとんどが分配可能額規制を認識していなかったことに愕然とした。まずいのではないか」。そう問う株主に、永守氏は気色ばんで、次のようにまくしたてた。

「時には人間、ミスしますよ。過去にもそういうのはあったけど、全部、公認会計士が最後見つけるわけですよ。(公認会計士が)全然見つけないで、社内の人間が見つけたんですよ」

「(分配可能額規制について)全然知らなかったと言って謝っているでしょ。公認会計士が最後は見ていてくれる。そのために公認会計士に莫大な金を払っているわけですよ。それを社内の取締役が全部知ってないかんということはありえない」

ニデックで起きた分配可能額規制違反とは、会社法などで算定される分配可能額を超えた自己株買いや中間配当を行っていた問題だ。2023年5月に佐村彰宣CFO(最高財務責任者)が配当原資を確認した際に発覚。6月2日付で外部調査委員会を設置し、株主総会直前の6月16日に調査報告書を受け取った。

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