50種類以上!「全国ご当地グミ」じわり人気のナゼ JA全農「ニッポンエール」の知られざる狙い
JA全農独自の販路としては全国に約500店舗あるAコープがある。これに続くは、各地の農協と結びつきが強い農産物直売所だ。とはいえ、わざわざ農産物直売所にグミを買いに来る客などいなさそうに思える。さらに、直売所自体がグミを売る気にならなさそうだが、山田晋也さんたちは勝算はあると考えていたという。
「たしかに農産物直売所は、グミには売れるイメージがないという先入観を持っていました。私たちは直売所の壁に目をつけていたんです。直売所はスーパーと違って背の高い陳列棚が少ないため、壁面が目立ちますよね。ここにボードを取り付け、グミを面陳列するように提案したんです。結果は、空きスペースを使って売上げ増になりました。ドライフルーツなども含めた『ニッポンエール』商品をずらっと並べて見せることで、店内の見た目もよくなりお客さんの興味を引いたのです」
同じ品種は複数の県でラインアップしない
各産地の課題解決につなげることを目的にしているというが、気になるのは、同じ品種の商品化を複数の県が希望してきた場合の対応だ。日本全国での全体最適という観点で生産と流通を考えるのがJA全農の立場である。青森県と長野県のリンゴ「ふじ」、山梨県と長野県のブドウ「シャインマスカット」、千葉県と茨城県のナシ「幸水」といったケースでは、どうしているのだろうか。
「複数の都道府県で同じ品種を商品化することはしません。ここはそれぞれの地域の意見や希望を聞きながらも、ご納得いただけるように、数字を示すなどして何とか調整します」(山田晋也さん)
最近人気のカンキツ愛媛県産「紅まどんな」などは、ニッポンエールグミによって首都圏でも名前を知られるようになったそうだ。
「大分県の『完熟かぼす』は、課題解決につながったわかりやすい事例です。『完熟かぼす』とは、収穫し切れずに黄色くなってしまったかぼすのことです。黄色くなると酸度が落ちて糖度が上がるのですが、魚にかけてもおいしくない。青果として流通させようにもすぐに傷んでしまうため、収穫されることはありませんでした。グミにすることで、廃棄されていたものを有効活用できたのです。
『神紅』は島根県が育成した新品種のブドウで、まだ流通量も限られているのですけど、県を挙げて知名度を高めたいということで商品化を実現させました。八丈島特産の巨大な「八丈フルーツレモン」は、『ニッポンエール』の取り組みによって青果のネット販売が伸びたんですよ」(山田晋也さん)
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