50種類以上!「全国ご当地グミ」じわり人気のナゼ JA全農「ニッポンエール」の知られざる狙い

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ゴディバとのコラボ商品(撮影:今井康一)

ニッポンエールグミは、粘度の違いによって、内側の軟らかい部分と外側の硬い部分の2層構造になっている。この内側の軟らかい部分にチョコをコーティングしたのが、ゴディバとのコラボ商品「ジュレショコラ」だ。そのほか「ドライフルーツのチョコがけ」などを含め、昨年2022年の「ゴディバ日本上陸50周年×JA全農創立50周年」の企画商品として、今年の3月にフィナーレを迎えて50商品・メニューを達成した。

「『ジュレショコラ』は、グミの内側のジュレをそのまま使えばいけると考えたのですが、ゴディバさんのチョコレートの風味が強く果実感が出せずうまくいきませんでした。ゴディバさんのシェフと何度も試作を重ね、オリジナルのジュレを作りました」(山田晋也さん)

JA全農は実はグミでもコラボ商品をつくっている。その中には競合するブルボンも含まれる。発売されたばかりの「フェットチーネグミ青森県産世界一りんご味」がそれだ。これはハード食感系グミの品揃えを進めたいJA全農と、原料調達はもとより「ニッポンエールブランド」との相乗効果も期待できるブルボンの、双方の思惑が一致したためだろう。

応援したい産地を選ぶ、という楽しみ方も

はたして現状「ニッポンエール」は、JA全農の狙い通りに進んでいるといえるのだろうか。

「ニッポンエール」の目的は、国産農畜産物の販路拡大である。従来の「全農」ブランドなどでは実現できなかった販路開拓に成功している現状とメーカーや流通からコラボ案件が次々持ち込まれている現状を見る限り、新ブランドはひとまず順調に立ち上がったと言ってよいのだろう。

果物に限らず、国産農畜産物を使用した商品の購入は、日本の食料自給率を高めるために個人で取り組めるもっとも簡単な方法でもある。

まずは、産地名が明示されているため、自分が応援したい地域を選べる。もうひとつは、手軽に知らない土地の珍しい農作物(品種)の味を知ることができる点である。どちらも楽しみながら社会貢献した気分になれる。

こう考えてみると「ニッポンエール」は、我々にとって、ふるさと納税制度に似ているのかもしれない。

竹下 大学 品種ナビゲーター

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たけした だいがく / Daigaku Takeshita

1965年東京都生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、キリンビールに入社。新規事業としてゼロから花の育種プログラムを立ち上げ、プロジェクト中止の決定を乗り越えて同社アグリバイオ事業随一の高収益ビジネスモデルを確立。2004年には、All-America Selectionsが北米の園芸産業発展に貢献した育種家に贈る「ブリーダーズカップ」の初代受賞者に、ただひとり選ばれる。技術士(農業部門)。著書に『植物はヒトを操る』(毎日新聞社、いとうせいこう共著)、『東京ディズニーリゾート植物ガイド』(講談社、監修)、『日本の品種はすごい うまい植物をめぐる物語』(中央公論新社)、『野菜と果物 すごい品種図鑑』(エクスナレッジ)等。

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