「男がつらい社会」、日本は本当にこれでいいのか 過去最低“ジェンダーギャップ"の背景にあるもの

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まだまだ日本の政治・経済が男社会である以上、そんな現状を変え、男女格差を改善するために鍵を握っているのは男性たちでしょう。今回のジェンダーギャップ指数が発表されたとき、メディア出演していた大半の専門家は女性であり、男性の意識が薄いことを改めて感じさせられました。男性たちが「自分の生活や人生、健康や命を大切にしよう」と意識を変え、声をあげられたら、女性たちも本気で挑むことができるのではないでしょうか。

多様性を尊重し、参画できる社会に

近年では「男女格差を改善しよう」という企業や組織も少なくありませんが、はたして本当に実現しているのかと言えば疑問が残ります。たとえば、「意思決定の場に女性を参加させているが、発言の機会が少なく、決定権がないなど、影響力が少ない」「メディアへのアピールを目的に女性の管理職を起用したが、必要な権限を与えていない」「対外的な人数合わせのために、社内への影響が少ない社外の女性取締役を起用している」。これらのような「表面的な策に留まる企業や組織がまだまだ多い」という現実をよく聞きます。

男性たちにも、「これまでのやり方のほうが売上、利益を計算しやすい」「女性社員に物足りなさを感じている」「自分の立場や収入を守りたい」などの気持ちもあるのでしょう。ただそれでも、男性の犠牲や女性の我慢を強いるような現状は、中長期的に企業や組織の利益につながるとは思いづらいところがあります。良くも悪くも政府の強制的な介入がない中、利益と社員の心身を守れるのは、やはり現在の経営者や管理職でしょう。

19日に自民党の茂木敏充幹事長が、「党所属の女性国会議員の割合を今後10年間で30%まで引き上げる(現状は約12%)」という計画を発表していました。政治的な思惑はさておき、調査がはじまった2006年のジェンダーギャップ指数が80位だったことを踏まえても、世界のスピード感と比べたら「それでは遅い」という感は否めないでしょう。このあたりは国民の1人ひとりが注視していきたいところです。

ジェンダーギャップ指数のようなデータは、「必ずしもフェアな調査とは言い切れないところもある」ものですが、一方で「素直に受け入れたほうがよくなりそうなところがある」のも事実。あれこれ難癖をつけて本質から目を背けるのではなく、いいきっかけとして活用したいところです。今回は男女にまつわる話題でしたが、性別だけでなく多様性を尊重し、誰もが参画できる社会の実現を目指していくべきではないでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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