コンサルタントの給料が「爆上がり」している背景 高給に見合うほど優れたスキルがあるのか

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経営の本質を、リソースアロケーションだとすると、経営なんてしなくても済んできたわけです。ところが、今、それでは世界で戦えなくなってきている。なにしろ、この20年で、世界の時価総額トップ20に、日本企業は1社もいなくなったわけですから。

つまり、経営者が解かなければいけない課題が、この20年、30年で、一気に高度化してしまっている。過去に磨いた方法ではどうにもならなくなっているわけです。

さらに言うと、日本の経営者にはこれまで、課題だけ定義して解決策の立案は下に投げるという風潮があったと思います。結局、最後は現場に回ってくる。

現場を信頼しているとも言えますが、かといって、現場の社員が、まったく新しい課題、変革を要する課題に対する問題解決のきちんとした訓練を受けているわけではない。となると、問題解決の訓練を受けているプロであるコンサルタントに頼らざるを得ないのです。

業務請負型は「下請け」とは異なる

ですから、戦略策定型のコンサルティングの場合はもちろん、業務請負型のコンサルティングであっても、それはいわゆる下請けとは異なります。下請けというのは、自分でもできるけれど効率化のために人にやってもらうこと。自分ではできないことをお願いするのが、コンサルティングです。

業務請負型が戦略策定型と比べて簡単なのかと言われると、そうでもありません。人事総務経理のアウトソーシングに近い形のものもありますし、経営企画といえども高度な定型業務が結構あります。また、業務量・業務時間は、戦略策定型に比べると確実に増加しています。

結果としてホームランのような誰も思いつかなかった戦略を構想するより、クライアントの期待値の範囲で質の高いアウトプットを数多く作るヒット量産型が求められるようになり、クライアントの話を聞き、本質的な課題を抽出する能力が強化されなくなってしまいます。

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