コンサルタントの給料が「爆上がり」している背景 高給に見合うほど優れたスキルがあるのか

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それにしても優秀な国立大学の学生が、官僚や日本の一般企業ではなく、外資系コンサルファームに行ってしまうのは、何やら残念な気がするが……。

人は、自分の市場価値が、隣の人に比べて20〜50%低いくらいの場合、どうにか我慢できるようです。ところが、今は生涯年収に直すと、官庁や一般企業とコンサルティングファームで圧倒的な格差が生じてしまっています。

そうなると、例えば、せっかく青春を捧げて「東大」というブランドをとったというのに、それをバリューに転換していくフェーズで、一般企業や官庁では経済的にあまりにも未来が見えない、あるいは、自分より成績は悪かったはずの同期の給料が自分を何倍も上回る、といったことになるとコンサルに惹かれてしまう。そういう構造になってしまっています。

日本企業の企画力は低下している?

最近では業務のみならず、部長・課長案件の企画の立案までコンサルティングに頼むところが増えているという。以前はどの企業でも新入社員はとりあえず企画を出す、という指導があったと思うが、こうしたところまで外注してしまったら、企業に人材が育たないことは容易に推測できる。

企画をどんどん提案して、自ら仕事を獲得していく力は非常に重要だと思うのですが、その力が如実になくなってきている企業が増えていることは否定できません。

ただ、昔の企業に企画力が十分にあったのかと言うと、それもまた疑問です。そもそも、「経営力」そのものがあったのかどうか……。ある程度の資産を国から与えられて、それを磨いていくことで発展してきた業種もありますし、製造業については、設計できる人の人件費が非常に安かったことがあります。1ドル=136円という固定為替制度のときに、どんどん作って輸出していくなかで、経験値を貯めていくことができました。

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