やんちゃ坊主が上った「天皇の料理番」への道 料理で日本のステータスを高めた男の人生
「僕はもともと豊臣秀吉が好きなんです」。
ドラマの企画意図を、石丸彰彦プロデューサーはこう切り出した。一農民だった男が天下人となって、城の天守閣から眺めた大阪の町は彼の目にどう映ったのか。その空想は、石丸プロデューサーの興味を刺激してやまないそうだ。
世界の要人たちをもてなし、あっと驚かせた日本人とは
そして今回、そんな秀吉に通じるものがあると題材に選んだのが、秋山徳蔵氏。夢を抱えて上京し、日本一のコックに上りつめた男である。しかし、その過程は試練の連続。そんな物語を通して「職業でもなんでも、何か自分のきっかけを思い出してもらえたら」と期待を込める。
そもそも秋山徳蔵氏とはどんな人物なのか――。
明治21年に福井に生まれ、幼い頃は何をやっても続かないやんちゃ坊主。しかし、初めて食べたカツレツに感動して料理人になる決意をし、東京で修行を重ねた後、本場パリへ。
日本政府から声がかかり、26歳の若さで大正天皇即位の晩餐会の料理を取り仕切る大役を任される。その後、半世紀にわたり宮中に仕え続けた伝説の「天皇の料理番」だ。
今と違って、明治時代に料理修行で海外に渡るというのは異例中の異例。しかし、料理の技術は盗むよりほかなかった当時、秋山氏はホテル・リッツなどで働きながら本場仕込みの料理を体得した。
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