レアメタルを確保しないと、海外企業との競争で勝負にならない--古屋堯民・フルヤ金属社長

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--競合先とも言える田中貴金属工業と資本・業務提携した理由は?

*今2月25日、田中貴金属工業に対し、第三者割当増資を実施。発行新株式数は141万6000株、発行価額の総額は70・8億円。資本関係のあった三菱商事に対しても、株式売買予約を締結(行使期限は今6月30日)。予約権がすべて行使されれば、三菱商事は持ち株比率19.99%(行使前は10.04%)と筆頭株主に浮上、田中貴金属が同19.49%と第2位株主になる。

原料の安定調達という側面で、田中貴金属が持つ南アフリカ最大鉱山のパイプは、フルヤ金属にとって必要だと判断した。

イリジウムやルテニウムはこれから先、かなり用途が広がり、需要も増えるだろう。これらの原料は南アフリカで生産されており、当社は大手3鉱山のうち2社について、三菱商事経由で取り引きをしている。
 
 ただ、いまのイリジウムの需要状況からすると、この2社体制ではいずれ足らなくなる。一方、田中貴金属は南アフリカ最大の鉱山会社と親しくお付き合いをされている。今回の提携には、このルートの確保、という意味合いがある。

確かに、田中貴金属はいままではむしろ競争相手だった。ただ、「今後はそういう状況ではないですね」、と。田中貴金属はプラチナ、ロジウム製品などに力をいれている。フルヤはイリジウム、ルテニウム製品を中心に注力している。得意分野が違うこともあり、「日本連合」でまずは材料面で協力していこう、と締結にいたった。

--「そういう状況ではない」とは? 海外メーカーの勢いが増しているのですか?

金属加工において歴史も規模もあるメーカーが、欧州に3社ある。これらの会社はイリジウムやルテニウムの技術も持つ。これらの欧州メーカーが中国や韓国、台湾に積極的に出て行こうと模索しているようだ。中国などの現地メーカーと協業することも想定できる。

今回の提携は、そういったところに勝てるようにしていくための一つの方法ということ。とにかく、原料がないと勝負にならない。まずは安定的な原料確保が非常に重要だと判断した。

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