レアメタルを確保しないと、海外企業との競争で勝負にならない--古屋堯民・フルヤ金属社長

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--リサイクル事業の強化も打ち出していますが、これも新興国の台頭に備えての動きですか。

イリジウム製品を顧客に納めれば、数年後にその出荷分に対して15~20%が当社に戻ってくる。これを当社が精製・加工して、もう一度新製品として顧客に納入する。これがリサイクル事業だ。

リサイクル事業は採算が良いため、当社の収益にプラスなのはもちろんのこと、顧客にとっても製品の安定的な供給につながる。

かつて、需要増を背景にルテニウムの価格が急騰したことがあった。1グラム当たり200円だったものが、07年3月には3500円を突破。だが、当社が同年12月にルテニウムの精製棟を稼働したところ、相場が落ち着いた。1500円にまで価格が下がったのだ。

今回もサファイア需要の増加などを理由に、イリジウムの相場が高騰している。昨年1月に1グラム当たり約1200円だったものが、今年3月には約3000円にまで上昇した。
 
 ただ、当社がリサイクル事業を強化すれば、使いやすい価格帯に相場を下げていくことができるだろう。

フルヤ金属はイリジウムのリサイクル設備としては、つくば工場に精製ラインを持っているが、土浦工場にもう一つラインを設置しようと計画している。すでに建屋を着工していて、今4月には完成する。稼働は8~9月になるだろう。稼働すれば、イリジウムの精製回収能力が従来比2.5倍になる。

--三菱商事や田中貴金属が、今後追加増資する可能性はありますか。

それはない。三菱商事が筆頭株主、田中貴金属が第2位株主としてご支援いただくことは、今後も変わらない。両者ともに、フルヤ金属の持ち株比率を増やすことはのぞんでいない。

--金属加工製品の市場は中期的にどのような動きをすると見ていますか?

イリジウムの需要はLED用途を中心に、右肩上がりで伸びていくだろう。それ以外でも、イリジウムが使われる分野が着実に増える。宇宙関連や電極関連などの用途だ。他にも、有機EL分野も伸びてくるだろう。MLAM(不揮発性メモリ)分野でもイリジウムルツボが使われることが想定され、関連メーカーなどにフルヤ金属は試作品を出荷し始めたところだ。

ふるや・たかひと
1943年8月23日生まれ。1972年当社入社。1987年に社長就任、現在に至る

(梅咲 恵司 =東洋経済オンライン)

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