「高齢一人暮らし」を満喫する人の"幸福な生き方" これから「ご褒美の人生」をどう楽しく生きるか

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一人でものんびり朗らかに暮らしている高齢者に共通するのは、自分の老いを面白おかしく受け止めているということです。

「ほんとにもう、すぐに忘れてしまうなあ」

「一日はあっという間に終わってしまうけど、その割にボーッとしている時間がほとんどだな」

「90歳は卒寿か、人生卒業か、なんにも卒業できてないな」

そんな調子でため息つきながらも、日々、飄々と生きている一人暮らし老人が多いのです。

映画館の暗闇は「一人の老い」を幸せにしてくれる

わたしは映画が好きですし自分でも撮りますし、これからもまだまだ映画作りを続けたい気持ちがあります。それで少し映画の話をさせてもらいます。

地方で暮らす高齢者の方はよく「映画館のある都会が羨ましい」と言います。地方には映画館のない町が増えていますから、あの暗闇の中で大きなスクリーンで映画を観たいと思ってもそれができないのです。

その点、東京のような大都会にはミニシアターも含めて映画館がたくさんあります。大手が配給する映画は、たとえばアニメ映画のように若い世代を中心に観客が押し寄せて大ヒットしますが、じつは高齢者を中心とした古い映画ファンにも十分に観ごたえのあるドキュメンタリー映画のような作品が毎日、どこかの劇場でひっそりと上映されています。

そういう映画を思いつくままに観て歩くのを楽しみにしているのはおもにシニアのファンのようです。高齢の映画ファンほど、「いまの映画はつまらない」とか「うるさいだけで面白くない」と敬遠しがちですが、大ヒットする作品ばかりがニュースになるのでそう感じるだけで、じつはアートフォーラムのようなミニシアターではインディペンデント系のように話題にはならなくても古い映画ファンを満足させる作品がどこかで上映されています。

ミニシアターですから座席数もたいていは100席足らずの小さな空間です。でもやはり映画館には違いありません。あの暗闇も、迫ってくる大きなスクリーンも音響もそのままです。そこに一人で座り込んで過ごす1時間か2時間は、きっと至福の時間になると思います。

次ページ都会の「老いの孤独」にも幸せの種はきっと見つかる
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