「高齢一人暮らし」を満喫する人の"幸福な生き方" これから「ご褒美の人生」をどう楽しく生きるか

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この境地は難しいかもしれません。ただ、最後の最後で迎えるかもしれない場面と考えれば、頭のどこかに留めておいても無意味ではないと思います。

「一人ぼっちにはなりたくない、老いてもそばに頼れる人がいてほしい」

かりにそう考えている人がいたとしても、その頼れる人をいまから探そうとはしないし、探す気にもなれません。そもそも簡単には見つかりません。

一人になって「ああ、せいせいした」と思えるかどうか

わたしは高齢になってからの人間関係というのは、「ガラガラポン」だと思っています。積み重ねてきたいろいろなもの、人間関係だけでなく仕事の交渉とか企画とか、すべていったん白紙に戻して一からやり直すことをガラガラポンとよく言いますが、いったん全部白紙に戻すというのは簡単なようで難しいことです。もったいないとか「せっかくここまで」という気持ちがどうしても働いてしまうからです。

まして人間関係というのは相手との関係ですから自分から切ってしまうのは難しいです。親しい人や長い付き合いの人との関係を白紙に戻すというのは簡単ではありません。自分からわざわざそんなことはしたくありません。

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でも高齢になると、それができてしまいます。あんなに仲が良かったグループが自然消滅したり、一人欠け二人欠けして遠ざかっていきます。みんなそれぞれ自分の老いを見つめて静かな暮らしを送り始めたということです。そこでジタバタしても始まりませんね。むしろ、「ああ、せいせいした!」と思えるかどうかです。

「わたしもいよいよ一人だ。ここからは残りの人生、自分のペースで楽しんでいこう」

そう腹を決められるかどうかではないでしょうか。腹を決めてしまえば、気持ちの負担にならない人間関係や、「この人、感じいいな」と思えるような人とだけ付き合って、あとは自分の好きなことだけやっていけば心の自由を失うことはありません。心の自由さえ失わなければ、老いに逆らわず静かに暮らすようになっても寂しさは感じないと思います。

「自分一人の時間が欲しい」というのは、ほとんどの人にとっていままでの人生で何度も願ってきた夢でした。老いはその夢を誰にでもプレゼントしてくれるのです。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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