石油製品の安定供給には新たな仕組みが必要だ--石油連盟会長 天坊昭彦
──全体最適で考えるべき、という考えはよくわかります。しかし、誰がそれを決めるんですか。
1社でどうこうできる話じゃない。業界と国が一緒になって、どうすべきかを徹底的に議論するしかない。しかし、今みたいな自由競争の中では、独占禁止法の問題もあり、そんな議論なんてできっこない。だから私は、この問題をいったん自由競争の範疇から外して議論すべきだと考えている。国のエネルギーのグランドデザインを新たに作り直して、ナショナルプロジェクトとして取り組むべき話だ。
──自由競争の枠組みを外せば、石油会社のコスト意識が薄れてしまうのでは。
電力と違って、石油は海外からガソリンなどの製品が入ってくる。甘ったれた経営になれば、輸入製品に駆逐されてしまうわけで、緩んだ経営にはならない。1社1社はできる範囲の企業努力を精いっぱいやると。でも、そこから先は国が決めた方針に基づいてやりなさい、そのために必要な国の支援はすると。そういう形であるべきだと思う。それで石油業界が得をするといった次元の低い話ではなく、これはまさに日本の安全保障、エネルギー供給の根幹にかかわる問題なんです。
(聞き手:大滝俊一・週刊東洋経済編集長、渡辺清治 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2011年4月16日号)
てんぼう・あきひこ
1939年生まれ。64年東京大学経済学部卒、出光興産入社。経理、営業などの担当役員を経て、2002年社長就任。09年6月から会長。08年5月から石油連盟会長も務め、業界の自由競争の危うさを唱えてきた。
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