石油製品の安定供給には新たな仕組みが必要だ--石油連盟会長 天坊昭彦

石油製品の安定供給には新たな仕組みが必要だ--石油連盟会長 天坊昭彦

東日本大震災により、石油業界では東日本にある11製油所のうち6カ所が一時操業停止する事態に見舞われた。被害の大きいJX日鉱日石エネルギーの仙台、鹿島の両製油所、コスモ石油の千葉製油所は操業再開まで時間を要する。

石油業界は今回の震災にどう動いたのか。そして今後、日本国内の石油供給体制はどうあるべきなのか。石油連盟の会長を務める天坊昭彦・出光興産会長に聞いた。

──東北被災地では、ガソリンや軽油、灯油など燃料油の深刻な品薄が続きました。

地震が起きて、東日本では石油製品の出荷が一時的に大きく減った。とにかく被災地への供給を最優先にと動いたが、地震と津波の影響で東北太平洋側の製油所や油槽所(石油製品を貯蔵して陸上輸送するための中継基地)がすべて機能停止し、供給ルートが遮断された状況だった。

そこで、日本海側の油槽所から東北太平洋側へとタンクローリーを走らせる緊急手段を取った。しかし、配送距離が長く、タンクローリーを往復させるだけで10時間以上もかかる。しかも、東北ではかなりの数のタンクローリーが津波で流され、動かせる台数が限られた。ガソリンスタンドも多くの店が被災した。そうしたさまざまな問題が重なり、震災直後の供給は混乱を極めた。

中継基地が順次復旧 供給不足は近く解消へ

──現在(インタビューは3月31日に実施)は、それがどの程度まで改善しているのでしょうか。

操業が止まった6製油所のうち3カ所が早い段階で操業を再開し、業界全体ではすでに国内需要を上回る生産供給体制に戻っている。油槽所も3月17日に受け入れを再開した塩釜(宮城)をはじめ、八戸(青森)や小名浜(福島)、日立(茨城)などの油槽所が順次復旧しており、関東や西日本の製油所から直接、東北太平洋側の港に海上輸送できるようになった。これで太平洋側の油槽所から被災地のスタンドへとタンクローリーを走らせることができ、震災直後に比べて配送効率は格段に上がっている。

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