サントリーホールディングスの新浪剛史社長が、経済同友会のセミナーで「45歳定年制」を提案したことが話題になりました。
僕はすでに45歳を超えているので、新浪さんの提案に従うと、定年を迎えていることになります。ただ、僕はフランスに移住した38歳ごろからすでに自分のやりたいことをやりたい分だけやってきているので「お前は定年だ」と言われても、生活は何も変わらない気がします。
仕事ができる人ならば、たとえ45歳で定年を迎えても再雇用の声がかかるでしょうからなんの問題もないはずです。45歳定年制に反対するのは、仕事はできないけれど会社にはしがみついていたい人でしょう。
しかしながら、しがみついていられるのも限界があります。もはや、日本の企業には仕事ができない社員の生活まで保障する体力はありません。そんなことができるのは、今後はごく限られた大企業だけで、中小企業はいらない社員をどんどん辞めさせているし、非正規雇用ともなれば首を切るのは簡単です。
そもそも、民間企業に社員の生活を支える義務を負わせるのは間違い。それは政府が社会保障としてやるべきことです。
新浪氏提案の45歳定年制も、国が社会保障を用意したうえで行えばいいかもしれません。そうすることで、企業はもっと有能な人を雇えるし、成長も望めるでしょう。
円安で顕在化した「日本の危機」
2023年1月に発表された全国企業倒産集計によれば、倒産件数が3年ぶりに増加しました。これは、円安の影響が出ているものと思われます。日本企業は、資材や資源をほぼ輸入でまかなっています。円安が続くと、仕入れコストがかさみ赤字になります。「とてもやっていられない」と商売を辞める人が続出し、倒産が増えるのは当然の帰結です。
さらに、もし円安が一時的なものではないと考えられれば、「早いうちに撤退したほうがまだ傷が浅くて済む」と倒産を急ぐ企業も出ますから、ますます日本経済は悪化します。
加えて、景気が悪いときには、仕事は人口が多いところに集まります。結果、東京や大阪などに代表される都市部ばかりが栄え、仕事を求めて人がやってくるというサイクルが生じ、地方はどんどん廃れていきます。
そうした地方では、商売が成り立たなくなって、個人商店が潰れるのはもちろん、大きなショッピングモールさえ消える可能性があります。つまり、都市部では大勢が仕事を奪い合い、地方ではそもそも仕事がないという状況に置かれ、人々はたえずリストラのリスクに晒(さら)されることになります。
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