企業法務を扱う弁護士にとって、弁護士の最大の顧客は弁護士だ。
顧問先が中国の工場を閉めるような場合は、中国の労働法に詳しい弁護士に現地の労務対策を依頼することになるし、小さな会社でもライセンスを必要とする業種であれば、買収にあたっては役所との調整のほか、税務、会計などの問題も絡む。やはりその分野に詳しい弁護士に業務の一部を任せる方が、精度の高いサービスを提供できる。
ベテランの弁護士も、細かい作業ベースの仕事をこなしてくれる人手を必要とすることがあり、弁護士会活動などで知り合った若手だと、比較的気軽に頼めるという。
訴訟だけが弁護士の仕事ではない
若手が「そこそこ食えている」と言い切るのは、上の世代の弁護士から依頼される業務がそこそこあるからで、依頼された業務をひとつひとつ誠実にこなすことで、上の世代の「食えている」弁護士間の評価を勝ち取り、新たな仕事を呼び込む好循環に繋がっているからにほかならない。
大事務所が大企業向けに、同一事務所内での自己完結型で提供しているワンストップサービスを、中堅以下の規模の企業向けに、複数の小規模な事務所が連携して提供している。その輪の中に入り込むことは、若手にとってはさほど難しいことではない、ということなのだろう。
こういった業務は基本的に法廷闘争を伴わない。訴訟件数が増えていないから弁護士の仕事も増えていない、という論法があてはまらない世界で、若手の弁護士はしたたかに生きている。
※ 前編はこちら『データで検証!「弁護士は食えない」のウソ』
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