「間違った決定も決めないよりマシ」が外資の常識 結論を先送りする日本型管理職は生き残れない

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何が判断基準としてふさわしいかは、置かれた場面やその人の考え方によって異なってきますが、絶対に外してはならないのが、「何のためにそれをやっているのか?」という「目的」です。これをしっかりと見据えている限り、大きく判断を間違えることはありません。

証券会社時代、私が判断に迷ってオタオタしていると、上司のYさんからよくこのように詰められていました。

Yさん「さくらだ~、そもそもこの件の目的は何だったんだ、あ~?」

櫻田「も、も、目的は○○でした、ハイッ」

Yさん「んじゃ、どうすんだよ、あ~?」

ロジャーの面接目的も、資産運用コンサルティング・ビジネスで勝つための人材採用でした。それと照らし合わせれば、質問は2つで十分だったのでしょう。逆に、目的を見失ってしまうと、枝葉末節に目が行って的確な判断ができなくなります。

危機の際は「判断基準の単一化」を

世界最大のタイヤメーカー・ブリヂストンの元CEO荒川詔四氏が、著書『優れたリーダーはみな小心者である。』(ダイヤモンド社)の中で次のような経験を語っています。

ブリヂストン・ヨーロッパのCEOに就任したとき、事業全体が厳しい財務状態に陥っていた。特に、ある子会社が経営の足を引っ張っていた。そこで、その子会社を立て直すにあたって、次のようなメッセージを発した。
「売上とシェアは捨てていい。結果については私が責任を持つ」。つまり、事業規模を縮小させてでも健全な事業体につくり替えることを優先させたのである。子会社は利益確保に全力を集中させた結果、最悪の事態を回避した。

事業活動は売上、シェア、利益など、複数の指標を意識しながら進める必要がありますが、その優先順位があやふやだったり、すべてが大事だと考えてしまうと、各所にコンフリクトが起きて何もできなくなってしまいます。

特に、事態が悪化しているときは、それが原因となって最悪の結果を招きかねません。そのようなときこそ、判断基準に関するリーダーの強いメッセージが重要になってくるのです。

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