「間違った決定も決めないよりマシ」が外資の常識 結論を先送りする日本型管理職は生き残れない

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事態が悪化しているときに必要なのは「捨てる決断と判断基準の単一化」です。荒川氏は売上とシェアを捨てるという決断をした上で、利益重視という単一の判断基準をメッセージとして発しました。

危うい状況だからこそ、優先させるべきことを1つに絞り込むことで、関係者の判断に迷いを生じさせないようにしたのです。

捨てる決断ができるのはリーダーのみ

捨てる決断はメンバーにはできません。できるのは組織のリーダーです。これは勇気のいることですが、それをやるからこそメンバーの信頼を集めるのです。

ちなみに、破綻寸前だった子会社は財務体質を健全化したのち、売上とシェアを再び回復させたそうです。一度捨てたものでも、最悪の状態を脱しさえすれば、再び挑戦して取り返せる可能性はあるのです。

仕事にスピード感をもたらす最大の要素は迅速な意思決定です。正解がなく環境が不透明な時代の管理職は、限られた情報でも決めて仕事を前に進めなければなりません。

そこに必要なのは判断基準であり、典型的な判断基準が「目的」です。日頃から、仕事の目的を明らかにして、それをメンバーと共有することが、迅速な意思決定をサポートします。

櫻田 毅 人材活性ビジネスコーチ

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さくらだ たけし / Takeshi Sakurada

アークス&コーチング代表。九州大学大学院工学研究科修了後、三井造船で深海調査船の開発に従事。日興證券(当時)での投資開発課長、投資技術研究室長などを経て、米系資産運用会社ラッセル・インベストメントで資産運用コンサルティング部長。その後、執行役COO(最高執行責任者)として米国人CEO(最高経営責任者)と共に経営に携わる。2010年に独立後、研修や講演などを通じて年間約1500人のビジネスパーソンの成長支援に関わる。近著に『管理職1年目の教科書』(東洋経済新報社)がある。

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