RISING SUN開催地で再エネ100%ゾーン実現の訳 「REゾーン」の現場で見えた水素事業の着地点

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石狩市 企画経済部企画連携推進課主査の佐々木拓哉氏によれば「現在、京セラ関連企業の京セラコミュニケーションシステムのデータセンターの建設が進んでいるほか、もう1社のデータセンター進出が決定している」という。

また、別の視点で石狩湾新港の工業団地は、一部の人にとって“聖地化”している。国内最大級の野外オールナイトコンサート「RISING SUN ROCK FESTIVAL」の開催地でもあるのだ。

動き出した水素戦略構想

もう1つ今、石狩市が全国から注目を集める理由が、グリーン水素の活用だ。グリーン水素とは、再生可能エネルギーを由来とする水素の俗称である。

石狩湾新港の港湾区域に、再生可能エネルギー源を利活用する区域を定め、そこに14基の風力発電用の風車を建てる準備が進んでいる。1基あたりの出力は、前述の工業団地内の機器と比べて4倍の8MWとかなり大きい。それが14基だから、合計出力は100MWを超える規模だ。

石狩湾新港の工業団地内の様子。風力発電の風車が近くに立つ(筆者撮影)

この石狩湾新港洋上風力発電所では大規模な蓄電池、さらに水電解装置を経た水素製造を視野に置いている。この事業は、石狩市が2017年3月に策定した「石狩市水素戦略構想」の実現に向けての動きだ。

2021年~2022年度にかけて、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の事業調査であるフィジビリティスタディも行っている。

事業イメージ図を見ると、工業団地内で製造した水素を企業の定置型燃料電池、燃料電池トラック、燃料電池フォークリフトなどに使ったり、稼働中の北海道電力LNG火力発電所で混燃を行ったりしている様子がわかる。

石狩・札幌地域における水素サプライチェーンの実現イメージ(石狩市の資料より)

そのほか、隣接する札幌市推進の水素利活用方針に対応した、ローリー車などによる水素の陸上輸送や、本州を含む他の地域への内航船による海上輸送も含めた水素サプライチェーンもイメージしている。こうした全体図を見て感じるのは、具体性の変化だ。

2010年代半ばごろまでならば、あくまでも将来構想の一環として「こうなったらいいな」という程度だったものが、2010年代後半になると、グローバルでSDGs(持続可能な開発目標)やESG投資(環境・社会性・ガバナンス重視の投資)が企業や行政機関にとって実行が必須になったために、具体的な動きへと変わったのだ。

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