ごみを「直接埋立て」も90年代の東京の衝撃光景 残余年数50年超も東京港にはもう埋立て場所なし

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一方、清掃車の運転手にとっても、過酷な現場だった。ごみを降ろす際に詰まって出ない際には、タンクを上下に振って振り落とすのだが、雨が降ってぬかるんでいると、ごみで埋めた地べたにタイヤがはまってしまい、抜け出せなくなり傾いてしまう。その際にはごみの山をならしているブルドーザーで助けてもらって抜け出していた。

また、パンクもしょっちゅう起きていた。不燃ごみの中には鋭利なものがあったため、それを踏んでパンクしていたからである。さらに、ごみを降ろした後の清掃車のタンクに蝿が入りこみ、それをそのまま収集の現場まで持ち帰る状況でもあった。

ごみの全量が中間処理されるようになった今では、このような光景は見られない。しかし、次に示すとおり、この時期にごみを直接埋め立てていた影響は今でも残っている。

環境への対策 ―浸出水対策―

最終処分場が周囲への汚染源とならぬよう、環境対策が緻密に施されている。そのうちの1つが浸出水対策である。

最終処分場に雨が降ると、雨水は埋め立てたごみの層を通過していく。何も対策が施されていなければ、まるで紅茶のティーバッグのようにごみのエキスが混ざった浸出水が地下に浸透していく。そうすると、地下水や飲料水に影響が及ぶ。よって、最終処分場内に降った雨が漏れ出て周辺環境に影響を及ぼさないような設備を設置し、環境対策を施している。

この浸出水対策として、中央防波堤外側埋立処分場および新海面処分場内には16カ所の集水池が作られており、そこにごみの層を通ってきた浸出水が集まる仕組みとなっている。

この浸出水は、埋められたごみによって”風味”が異なる。厨芥を含む可燃ごみが埋められていた層からの浸出水と不燃ごみの層からの浸出水では、汚れ方が相違する。筆者が見学した集水池は黒っぽく汚れ、寒空の中でそこから湯気が勢いよく昇っていた。

16カ所ある集水池の1つ(写真:東京都環境局のHP)
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