門脇麦さん「重い役が多い」彼女のポジティブ思考 役柄との向き合い方や、今後のキャリアも聞く

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でも、劇中の有希も子どもを育てることをリアルに感じていない。そうじゃないと娘2人を家に置いて出ていったりできない。私と有希のそういう部分がうまくリンクすればいいと考えて演じました。それは撮影前にプロデューサーと監督にも話して、共有していました。

――自分のなかにある要素と役柄の共通点を見つけて、そこから役に入り込んでいくイメージですか?

そうですね。多少の事柄は違ったとしても、自分のなかの共通部分を探りながら、その役柄を演じていく感じです。

爪あとを残してやる、とは考えない

――『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)のライカもそうですが、出演する作品と演じる役柄ごとに強烈な印象を残しています。それを意識して演じている部分もありますか?

いえいえ、爪あとを残してやる!とかそんなこと考えていないです(笑)。逆に、もともとインパクトの強い役柄はそう思いながら演じたら邪魔になってしまう。

そういう役って殺人鬼とかキャラクターっぽい役柄が多いんですけど、誇張して演じるとあとで自分で見たときに恥ずかしい演技になるから。どんな役も演じるときのスタンスは一緒です。

門脇麦さん(撮影:今井康一)

――ネグレクトの母親・有希を「演じる=その人物になる」ことで、そのつらさが自分に入ってきたり、気分が重くなったりはしませんか?

そういうことはとくにないです。いろいろなタイプの役者さんがいますけど、私は役柄になりきらなくても、カメラに映る部分がその姿になっていればいいと思っています。

――演じる役との適度な距離感を取れているのですね。

暗い役で重いシーンを演じているときは確かに自分も暗い気持ちになっているんですけど、そこにどっぷり浸かってしまうと抜け出せなくなってしまう。なので、その重い役とシーンを俯瞰して、それを楽しむようにしています。

――女優をはじめた頃からそういう意識があったのでしょうか? それとも転機があったのでしょうか。

ミュージカル『わたしは真悟』(2016〜2017年)でフランス人演出家のフィリップ・ドゥクフレさんと仕事をしたときに「いいクリエイションは楽しまないと出てこない」と言われました。

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