門脇麦さん「重い役が多い」彼女のポジティブ思考 役柄との向き合い方や、今後のキャリアも聞く

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日本文化的には、自分を追い詰めてとか、ストイックに打ち込むとか、そこからいい表現が生まれるみたいな風習がある気がします。それまでの私はまさにそのど真ん中の重い作品ばかりやってきて、自分を追い込んでなんぼという仕事の仕方をしていたんですけど、その言葉を聞いたときに腹落ちしました。

もちろん追い込んでこそ出ててくる感情もあると思うんです。でも、その状態から生まれるのは受動的な感情で、「楽しい」は能動的に得ていく感情になるので、こちらのほうがパワーが必要なんです。

門脇麦さん(撮影:今井康一)

――それが女優という仕事をしてくうえでのポリシーになっているのでしょうか。

そうですね。私の場合は楽しいという感情がすべての原点になる気がします。能動的に楽しい感情を掴んでいかないと、なんとなく生きてしまう。いろいろな瞬間の楽しいことを自分から見つける。それを大切にしています。

演技の技術を身につけないようにする

――芸能界の第一線で活躍を続けています。そこに居続けることの難しさや不安を感じることはありませんか?

それは感じたことないです。ふだんからポジティブ思考なので(笑)。お仕事はたくさんいただいていますけど、自分が第一線で活躍していると思ったことはありません。出演する作品をいい作品にしたいと思うだけです。

――作品に出続けていないとあっという間に忘れ去られる世界で、活躍を続けるために心がけていることはありますか?

1つひとつの作品に誠実に向き合って、ひたすら一生懸命がんばることだと思います。一緒に仕事をする人とそうやって向き合っていると、子ども心に感じていたような純度の高い感情で共鳴し合うことがあるんです。

当たり前ですけど、仕事は人と人の付き合いなので、そういう人をたくさん作っていくと、それがまた次につながっていきます。それを大事にすることですね。

――女優としてのいまの課題や、これから身につけないといけないと考えていることはありますか?

演技の技術を身につけないこと(笑)。年齢を重ねて、いろいろな仕事を経験していくと、演じることに慣れてきますし、余裕も生まれます。でも、どんな仕事も決して小手先でやらず、初心を忘れてはいけない。

演技は、その人の人となりや、感情が表れます。なので「いつまでもキレイな心でいたい」です。自分で言って子どもみたいな発言だと思って笑ってしまいましたけど(笑)。

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