G7サミット閉幕「衆院解散ムード」急加速の裏側 岸田文雄首相の狙う「3度目の正直」の成否

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さらに岸田派の前日に同派と同じ東京プリンスホテルでの開催となった安倍派は、着席形式で幹部や来賓のあいさつのみでわずか約40分で終了し、提供されたのはペットボトルのお茶1本だけ。大枚の会費を支払った参加者の多くは「やらずぶったくりでの資金集めに呆れた」などと不満を露わにし、そそくさと退席した。

それぞれのパーティでの焦点は、やはり岸田首相や各派領袖、政府与党幹部のあいさつ。とくに政界は、安倍、岸田両派での各実力者の言動に注目した。

まず安倍派では、あいさつした全員が故安倍晋三元首相の業績を称える一方、約1カ月半後の命日での後継会長選びも絡めた微妙な発言も飛び交い、今も同派に強い影響力を持つ森喜朗元首相が挨拶もせずに途中退席するなど、最大派閥の内情の複雑さも浮き彫りにした。

「ど真ん中」「屋台骨」連呼に空々しさも

さらに翌日の岸田派には、派閥領袖の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長、森山裕選対委員長らが首相の登場前から来賓席で談笑したが、二階氏や菅氏は欠席。来賓あいさつも、首相の「後見役」の麻生氏が真っ先に登壇して祝辞を述べたが、党5役の茂木、森山両氏、遠藤利明総務会長、萩生田光一政調会長は一緒に登壇して茂木氏が代表であいさつするなど「扱いの差」(長老)も。

すべての来賓が岸田政権支持で「ど真ん中」「屋台骨」を連呼したが、議員席では苦笑が絶えず、「総主流態勢の空々しさ」(同)も露呈した。このため、解散ムード加速の裏側で、「自民内の岸田首相への不満、不信が、“サミット解散”の落とし穴」(同)ともなりかねない状況だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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