G7サミット閉幕「衆院解散ムード」急加速の裏側 岸田文雄首相の狙う「3度目の正直」の成否

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その一方で、自民党内で盛り上がる早期衆院解散・総選挙断行論については「今は重大な政治課題について結果を出すことに専念している。先送りできない課題について、結果を出すことに集中しなければならないと思っている。よって、今は解散については考えていない」とこれまで通りの見解を繰り返した。

そもそも今後の政治日程からみると、2021年10月以来の「一大政治決戦」ともなる衆院解散・総選挙のタイミングについて、政界関係者の間では大別して①今通常国会会期末②秋の臨時国会冒頭から11月の間③2024年の通常国会での予算成立後から会期末の間、の3つのケースが想定されている。

これは、2024年9月30日に岸田首相の自民党総裁任期が満了となることから、再選を狙う岸田首相が「必ずそれまでに解散権を行使する」(自民幹部)ことが前提。岸田首相もこれまでの国会答弁などで「何についてどのタイミングで国民の信を問うべきなのか、時の首相の専権事項として適切に判断すべきものと考えている」と繰り返してきた。

広島G7を受けてこれまで微風ともみえた解散風が一気に強風となり、与野党とも“解散モード”に突入する一方、岸田首相周辺や自民党選対幹部らの間では「慎重論」も根強い。「現在の岸田内閣への国民の支持は、他に選択肢がないとの消去法によるもので、調子に乗って解散すると必ずしっぺ返しを食らう」(閣僚経験者)との懸念からだ。

早期解散は「利害が交錯」

さらに、岸田政権を与党として支える公明党が会期末解散に反対していることも、自民内の不安を拡大させている。次期衆院選から施行される「10増10減」を踏まえ、公明は小選挙区が増加する東京などでの出馬に強くこだわり、反発する自民党都連などとの調整が難航しているからだ。この自公対立に多くの自民候補者は「公明党の票がなければ勝てない。解散どころではなくなる」と首をすくめる。

これに対し、4月の統一地方選と衆参5補欠選挙で「大躍進」した日本維新の会が、最新の世論調査でも野党第1党の立憲民主を大きく超える支持を得て、自民党を脅かす存在となっていることも解散論議に影響を及ぼし、自民内では「維新の全国での候補者擁立が進む前に解散すべきだ」との声が強まる。このため、早期解散は自民党内で「まさに利害が交錯している」(自民幹部)のが現状だ。

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