ここまできた!「修学旅行」体験学習でできること 人気スポット巡りだけじゃない新しい傾向

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このほか「日本最大の食品コンビナートで食の未来を考える!」(千葉食品コンビナート)、「販売体験で学ぶSDGs」(新浦安駅前)、「”笑い”でわかる・深めるSDGs 」(よしもと幕張イオンモール劇場)、「房州うちわ作りから身近にできる『3R』を考える!」(南房総市)など35の多彩なプログラムが用意されている。

「今年から県の委託を受けた千葉県観光物産協会が”SDGsとちばの教育旅行の魅力”という形で誘致活動に取り組んでいます。最近では岡山県の旅行会社に、県内の学校から『小麦の流通実態を学習させたい』ということで、食品コンビナート内の千葉共同サイロの見学について問い合わせがあったようです。

従来、千葉県を訪れる修学旅行の7割は舞浜のテーマパークを訪れ、その後都内に向かうパターンが多かったのですが、SDGs体験プログラムの周知、誘致活動に力を入れています」(千葉県観光物産協会の担当者)

北海道の企業でミニロケットづくりと打ち上げ体験

修学旅行地の人気先の一つ、北海道でも興味深い体験プログラムがある。ドラマにもなった『下町ロケット』シリーズのモデル(原作者はモデルはないと言明)との説も流れている植松電機(赤平市・植松努社長)でのロケット制作・打ち上げ体験だ。

同社では体験学習を含む教育活動を「失敗を恐れずに、自ら挑戦することの大切さを、小さなロケット作りなど様々な体験を通して子ども達に夢と勇気と自信を持ってもらうことへの活動」(HPより)と位置づけている。

プログラム内容は、①植松社長の講話 ②モデルロケット「α6s」(全長40センチ)制作体験 ③カムイロケット燃焼実験見学 ④モデルロケット打ち上げ体験で、昼食を含めた所要時間は4時間となっている。

「体験学習は2008年から実施しています。参加者数はこれまで最大で年間約1万5000人、最近は1万人ほどです。小学校の社会学習から中学校、高校の修学旅行までさまざまで、道内からだけなく全国各地から来られています。最近では福岡県の高校生360人の体験学習の予約が入っています」(同社担当者)

モデルロケット打ち上げの様子(植松電機提供)

1回訪れた学校がリピーターになることが多いというから、その人気ぶりがうかがえる。ちなみに、同社関係者によると、植松社長は下町ロケットのモデル説について「下町ロケットのモデルと言われるのは好きじゃないです。でも、下町ロケットのおかげで、もの作りに興味を感じる人が増えるのはものすごくうれしいことです」と語っているという。

全国の自治体の修学旅行誘致競争は激しさを増す一方で、生徒たちが体験できるコンテンツは充実してきている。取り組み方次第では、修学旅行という学校コンテンツが一つの文化となり、地域活性化の起爆剤になっていくかもしれない。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログでは、最新の病状などを掲載中。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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