「できる人」と「できない人」勉強法の考え方の違い なぜモチベーションは高くても成果が出ない?

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勉強に関しても同じです。「自分がいま勉強している箇所」のみに集中してしまうと、その箇所が単元全体の中でどのような位置づけなのか、その箇所が全体の物語の中でどのような役割を演じているのかを、意識することができません。勉強の場合はもちろん、そう簡単に全体マップを手に入れることはできませんが、勉強の範囲が広がれば広がるほど、手にすべき地図の範囲も広大になっていきます。全体像を摑んでいれば、自分がいま学んでいる知識を、その地図の中で体系づけて記憶に定着させやすくなるのです。

また、私はよく「全体像を摑む」ということを「一本の大木を育てる」ことにたとえて説明します。

一本の大木を育てようとした場合、もっとも重要なのは「丈夫な幹を育て上げる」こと。勉強において、幹は「重要な知識のみを、一貫したストーリーの中に配置して作り上げたもの」であり、それ以外の派生的な知識や情報は「枝葉」にたとえることができます。

教科書や「基本書」と呼ばれる参考書は、試験で出題されるであろう、あらゆる情報を網羅する形で作られています。その中には必ず出題される「最重要ポイント」もあれば、それほど重要ではなく滅多に出題されない些末な知識もあります。

そんな教科書を「読んだところを完璧に理解してから次に読み進めよう」とする人も多いのですが、「試験に合格する」という目的を考えると、それはあまりにも非効率的です。

教科書や参考書の一部分を一度読んだだけでは、どこが重要な「幹」の部分なのかを判断できません。気がついたら「枝葉」どころか「落ち穂拾い」のような勉強をしているようでは、どんなに勉強時間を積み重ねたところで、目的を達成することはできません。

つまり「全体像を意識する」ために大切なことは、一つ一つの単元や項目について「完璧にマスターしよう」「すべて覚えてから先に進もう」などとは考えずに、とにかく「一旦理解だけはしよう」くらいの感覚で次に進むことです。さらには、ある単元を勉強したら早めに実践問題(過去問など)に当たることで、「この単元における『幹』はどの部分なのか」が意識できるようになるわけです。

河野玄斗
(出所)『資格試験のための最短最速勉強法 速学のススメ』
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