5月19日、日経平均株価が1990年8月以来、約33年ぶりの高値となる3万0808円まで上昇した。「米欧の株価が冴えない中で、日本株がもっぱら好調」という図式はいったいいつ以来のことだろうか。
「2023年の日本経済は小吉のおみくじ」と、筆者は年初から言い続けてきたけれども、正直、ここまでの株高は予想していなかった。もっともそれは誰もが同様らしく、5月18日の日本経済新聞朝刊も「日経平均3万円、海外勢の逃避先に 世界不安で安定評価」などと苦しい解説をしている。確かに「ウォーレン・バフェットさんのご推奨」というだけでは、現在の外国人による日本株買いの勢いはとても説明がつきそうにない。
アメリカでは銀行の経営不安が相次ぎ、家計債務残高が過去最大を更新し、商業用不動産が値下がりし、債務上限問題のカウントダウンが進んでいる。たとえ「消去法」であるにせよ、日本株が「安全資産」として注目されるのはめでたいことと言えよう。
「債務上限問題」は本当にヤマを越えたのか
注目の債務上限問題については、共和党のケビン・マッカーシー下院議長も同国債のデフォルト(債務不履行)は望んではおらず、本当は収拾を急ぎたいはずである。
しかし5月10日に、ドナルド・トランプ前大統領がニューハンプシャー州で遊説中に、「財政支出削減がないなら、デフォルトもやむなし」と述べている点には注意が必要だ。保守強硬派の共和党議員たちが、一種の「確信犯」になっているおそれがある。党内基盤の弱いマッカーシー氏が、彼らを抑え込めないようだと厄介なことになる。皆が皆、正気とは限らないことが、この問題の難しいところである。
ともあれ、ジョー・バイデン大統領は無事に日本に到着し、18日夜には広島で日米首脳会談も行われた。G7広島サミットにはフルに出席するけれども、このあとは共和党との協議に戻らねばならない。外遊日程は短縮され、24日にシドニーで予定されていたクワッド(日米豪印)首脳会談はキャンセルとなってしまった。
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