子ども予算を「ねずみ講」「消費税」以外で賄う解 現役世代の後期高齢者支援金を減らして回す

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なぜ医療保険料なのか。社会保険料には、医療、介護、年金、雇用の4つがある。介護保険料は、40歳以上しか保険料を払っていない。年金保険料は、原則として20~59歳の人しか払わない。雇用保険料は、正規に雇われる形で民間企業で働く人しか払わない(自営業者や公務員は払っていない)。

それと比べて、医療保険料は、国民皆保険として年齢を問わず被保険者が払っている。子ども予算の財源を現役世代だけが負担するとなると、社会保障における給付と負担の世代間格差を助長してしまう。

ただ、社会保険料で負担を求めることには、越えなければならないハードルがある。

社会保険料は、「保険」である以上、保険の加入者がリスクに直面した際には給付が受け取れるという見返りがあって始めて成り立つ。医療保険料ならば、病気やけがをするというリスクに直面したときに、医療サービスのための費用の多くを給付でカバーしてもらえるという見返りがある。

リスクと負担の論理矛盾

しかし、今般の財源確保は、子ども予算のためである。子ども予算を保険給付と見立てれば、どんなリスクに直面した時に給付を出すのかが問われる。確かに、子育てにまつわる「負担」をリスクと捉えられなくはない。育児のために休業をすると、所得が減るリスクに直面する。子育てのために経済的・心理的な負担が増えるというリスクがあるともいえる。

そう捉えたとしたら、すでに子育てを終えた高齢者は、そうしたリスクに直面するだろうか。そうしたリスクはもうないといってよい。リスクに直面する可能性がほぼゼロである人から、「保険料」をとることがどれほど正当化できるか。

このように、社会保険料で負担を求めるには、どのようなリスクを想定するかや、リスクに直面しないことが明らかな人に負担を求めることができるのか、といった論理矛盾に直面する。

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