「もう住めない」高学歴者たちが大都市から流出中 高すぎる生活費にアメリカで進む大脱走

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高学歴ワーカーにおいては、生活費が高すぎて大都市に住めなくなった人と、生活費的には問題なくても大都市を去る選択をした人を区別するのは簡単ではない。

それでも、アメリカで最も生活費が高い大都市では、収入が比較的高い層でも生活費を払えなくなる人が全体として増えてきていることははっきりしている。これら大都市が一段とリッチになるにつれ、住宅価格の高騰に拍車がかかったからだ。

「その結果、生活費を払えずに出ていく人がますます増える。平均的な収入の人々だけでなく、高収入で大学の学位を持った人々でさえも、だ」。アメリカ商務省で経済問題担当次官を務めるジェド・コルコはそう話す。

例えば、ベイエリアが1世代以上前にバス運転手や在宅介護士がチャンスを夢見て住める場所でなくなったように、今のベイエリアはエンジニアやコンサルタントにとっても魅力的な場所ではなくなりつつあるのかもしれない。

リモートワーク普及で捨てられる大都市

パンデミックでリモートワークが急増したことも、この傾向を加速させる要因となった。リモートワークが広がったことにより、ただでさえ広い自宅を確保するのが難しい地域で、広い自宅に引っ越したいと考えるホワイトカラーが増えた。さらにリモートワークによって、高学歴ワーカーが収入の高い仕事に就くには高い生活費を甘受しなければならないという構図にも変化が生じた。

「高学歴で高収入の労働者は今、これまでになかった選択肢を手にしている」。そう話すのは、カリフォルニア公共政策研究所の人口統計学者ハンス・ジョンソンだ。

今ではこうした労働者の少なくとも一部は、サンフランシスコの仕事をキープし(あるいはサンフランシスコの仕事を受け)ながら、生活費がそこまで高くないヒューストンやノースカロライナ州のシャーロットに住むことができる。こうしたことが今やカリフォルニア州全体で大卒者の流出が流入を上回るようになった理由の1つではないかと、ジョンソンは考えている。

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