破綻銀行を食い物にした「ゴールドマン」極悪取引 SVB相手の破廉恥な取引が追及の的になる必然
ウォール街の金融大手ゴールドマン・サックスは先日、シリコンバレーバンク(SVB)のアドバイザーとして、同銀行を破綻から救うため土壇場での増資を実現させようとした。
ところが、ゴールドマンはSVBの最後の日々に別の役割も担い、巨額の手数料を手にする見通しだ。SVBの保有債券を安値で購入するというゴールドマンのその取引は、最終的にSVBの信用不安につながった。
機密に関わるとして匿名を条件に取材に応じた消息筋によると、ゴールドマンはSVBから214億ドルの債券を購入するのと引き換えに(SVBは同債券の売却で18億ドルの損失を計上)、約1億ドルの利益を得る見込みという。利益の総額はまだ流動的だ。
というのは、ゴールドマンのように債券を購入する場合、買い手は売却可能と思われる金額よりも安値で購入し、その後できるだけ高い価格で債券を売却しようとするのが普通だからだ。利益は取得額と売却額の差によって決まる。最初の取引で債券が割引価格となるのは、買い手のバランスシート上のリスクに対する一種の補償といえる。
違法ではないが追及は免れない
消息筋の1人によると、ゴールドマンはまだ債務の売却を終えていないため、利益がどの程度になるかは定かでない。ただ、ここ数週間の債券市場のボラティリティ(乱高下)を踏まえると、ゴールドマンはかなり大きな値引きを求めた可能性が濃厚だ、とコーネル大学の金融学上級講師ドリュー・パスカレラは指摘した。アメリカ国債の価格はここ数日、急上昇している。SVB破綻を受けた混乱の中、投資家が現金の比較的安全な保管場所として債券に資金を振り向けるようになったためだ。
法律の専門家や銀行関係者は、ゴールドマンの今回の取引は決して変則的なものではないと言う。とはいえ、SVBの破綻スピード、被害を食い止めるために政府が講じた特例措置、そしてゴールドマンがあの運命の1週間にSVBに対して果たした二面的な役割を考えると、ゴールドマンの取引が厳しい視線にさらされることになるのは、ほぼ間違いない。