職員が告白、「介護業界」隠蔽体質が招く大量離職 元会社員の転職組が出世して事なかれ主義に

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前提として基本的に真面目な職員の割合が多い、と田中さんは感じている。一方で、人間関係のもつれから、陰湿なイジメやパワハラにあって泣く泣く仕事を辞めていった職員も多く見てきた。そこにも介護業界ならではの事情があるという。

「他の業種と比べて、利用者とのコミュニケーションや衛生面でどうしてもストレスが溜まりやすいのがこの仕事の特徴。そのストレスを、同胞に向ける人間が多くいるのも現実としてあります。『こんなに若いのに他の仕事はなかったの』『大学まで出て何で介護の仕事を』など心ない言葉を若い子に話して、悦に入る職員も珍しくありません。人一倍真面目に働いていた新人に対して、自分はクビになって介護業界に来た人が『外の世界はこんなに甘くないぞ』と、説教していたこともありましたね」

介護は一人の利用者に対して多くの職員が関わる仕事でもある。それゆえに、一人がサボることで他の職員たちが尻拭いをするという形になっていく。そういった小さなゆがみが、施設全体で大きな問題となるケースもある。過去に働いた施設の中では、明らかな問題行為があったことも見てきた。例えば介護現場では原則禁止とされている、身体拘束もその1つだ。

身体拘束が行われることも

「親族の要望で、『コケて骨折してほしくないから拘束具をつけてほしい』と言われることも多々あります。もちろんバレたら免許停止ものの違反行為ですが、中には監査が来ないタイミングで拘束具を使用している施設もあった。こういった施設は明らかに人手が足りず、苦肉の策として拘束具に頼らざるをえなかったということもあり、善しあしの判断は難しいんです。

介護現場では、頑張っても頑張らなくても給料が変わらないという側面が強い。真面目に利用者のことを考えて向き合いすぎても、うまくいかなかった時の爆発や反動が出る。そういったジレンマを抱えながら働く職員は少なくないです」

もっとも介護士を取り巻く仕事は、少しずつながら改善傾向にある。例えば給与面を見ると2009年時点で月給25万7880円だった平均給与は、2021年には32万3190円まで賃上げされている(厚生労働省の「介護従事者処遇状況等調査結果」より)。

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