職員が告白、「介護業界」隠蔽体質が招く大量離職 元会社員の転職組が出世して事なかれ主義に

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

我慢ができず行動に移した際も、問題を表沙汰にしたくないという理由でお咎めなしだった。そういった体質も不信感を持った理由の1つでもあった。

「まともに仕事をしないだけではなく、保身のためだけに隠蔽を図っていたことにも我慢ならなかったんです。私に呼応した多くの職員が反旗をひるがえして辞めましたが、今でもまだ現場のリーダーとして施設に残っている。問題がある施設ほど事なかれ主義。親族や利用者のことを考えるとゾッとするような施設も一部では残っているんです」

これまで特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)など、有料老人ホーム以外の施設で働いてきた。その経験を踏まえ、施設の種類こそ違えど、本質的な問題に大きな差異はないというのが田中さんの考え方だ。

元サラリーマンが転職してくる

介護業界に“流れてくる”人は、別業界からの転職組も少なくない。むしろ近年は、元サラリーマンなどの中年層が増加傾向にあった。こういった転職組ほどたちが悪いと感じる職員が現場には一定数存在する。

「介護の仕事の特徴として、一生懸命に働くよりも、ある程度流せる人のほうが同じ施設で長く働ける傾向があります。元会社員の人たちは、総じてもともとこの業界で働く人たちを下に見ているようなふしがあり、仕事はサボるくせに“上”の立場の人間にはヘコヘコするからリーダーなどある程度の立場になっていきやすい。

施設長よりも、現場を取り仕切る介護士のリーダーの“質”で施設の運営は大きく変わる。離職率の高さは、こういったリーダーを含めた管理職の人間性が一因になっています。それが利用者視点であれば話は変わってくるんですが、そうではない現状に問題があるんです」

田中さんは介護業界の理不尽を目の当たりにするも、「仕事は嫌いじゃない」と語る(筆者撮影)
次ページ介護業界ならではの事情
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事