【ピロリ菌】胃がん原因の9割、感染ある人の特徴 検査のメリット・デメリットと除菌法も紹介

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「自分や家族にピロリ菌感染歴があれば、一緒に暮らす子どもにも感染の可能性があります。どこかのタイミングで子どもにピロリ菌検査を受けさせるといいでしょう」

また、平澤医師は中国などのアジア圏では、まだピロリ菌感染率は高いことにも注視する。

「5歳以下の子ども連れでそうした国への旅行、駐在などをする場合は、子どもの飲食には注意を。とくに生水の摂取は避けたほうがいい」

ピロリ菌感染がある人の特徴

ピロリ菌に感染したからといって、必ずしも発がんするわけではない。環境要因や食事、生活様式、遺伝要因などによって、感染はしていても発がんしない人もいる。

それでもピロリ菌に感染した多くの人に見られるのは、慢性胃炎の症状だ。自覚症状のないこともあるが、胃もたれや胸やけ、吐き気、空腹時の胃痛、食後の腹痛、食欲不振などの不快症状を感じる人も多い。

さらに長い期間にわたって持続的に胃炎が続くと、胃の粘膜が薄くやせて「萎縮(いしゅく)」という状態になり、萎縮性胃炎が生じる。さらに、萎縮が慢性化すると、胃の粘膜が腸の粘膜の状態に似た「腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)」という状態に変質する。

「ピロリ菌の放置によって胃の粘膜が腸上皮化生になると胃がんリスクはかなり高まります。そして、胃潰瘍や十二指腸潰瘍もかつて考えられていたような生活習慣やストレスではなく、主にピロリ菌が原因であることがわかっています」(平澤医師)

ちなみに、ピロリ菌感染のない人の場合、胃炎や潰瘍、胃がんのリスクは減るが、その一方で胃酸の分泌が活発となるため、逆流性食道炎にはなりやすくなるという。昨今の逆流性食道炎の増加は食生活の欧米化などが主な原因と考えられているが、「若年者のピロリ菌感染率の低下も少なからず影響しているのでは」と平澤医師は指摘する。

胃がんや胃・十二指腸潰瘍の予防にはピロリ菌除菌が有効ということがわかったが、ピロリ菌の検査や除菌治療はどのように行うのだろうか。

ピロリ菌の検査には、大きく「胃カメラを使う検査」と「使わない検査」があるという。

まず、胃カメラを使う検査では、カメラの先端に付いている鉗子(かんし)で胃の粘膜を採取して、詳しい検査を行う。検査には、粘膜を培養する培養法、粘膜からピロリ菌が持っているウレアーゼという酵素の有無を調べる迅速ウレアーゼ試験、粘膜の組織標本に特殊な染色をしてピロリ菌を顕微鏡で探す組織鏡検法などがある。

一方、胃カメラを使わない検査としては、診断薬を服用し、その前後の呼気を集めて診断する尿素呼気試験法、血液や尿でピロリ菌の抗体の有無を調べる抗体測定、便中のピロリ菌の抗原の有無を調べる糞便中抗原測定などがある。

とくに尿素呼気試験法は検査精度が高く、除菌後の判定検査にも使われている。どの検査方法を選ぶかは下記のメリットとデメリットも参考に医師と相談しよう。

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