【ピロリ菌】胃がん原因の9割、感染ある人の特徴 検査のメリット・デメリットと除菌法も紹介

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平澤医師の取材を基に筆者作成

「いずれの検査も100%の精度ではなく、陰性でも偽陰性だったということもありえます。検査で陽性となるなど、少しでも感染が疑われたときには、放置せずに必ず胃カメラを受けてください。ピロリ菌だけに注目して、胃がんが見落とされることのないように、ピロリ菌の検査と胃カメラはセットで考えたほうがいいと思います」(平澤医師)

基本的に、ピロリ菌の除菌治療ができるのは胃カメラによって、ピロリ感染胃炎の疑いがある「慢性胃炎」と診断されたケース。さらにピロリ菌感染の検査で陽性なら、除菌治療に健康保険が適用される。

胃・十二指腸潰瘍がある人や、早期胃がんで内視鏡治療を受けた人も、ピロリ菌検査と除菌治療は保険適用となる。ただし、胃カメラを受けずにピロリ菌の検査をして、除菌を希望する場合は健康保険が適用されない。

「まれに、胃カメラで胃の粘膜に萎縮性の変化が見つかったにもかかわらず、検査をしてもピロリ菌の陰性を示す人がいます。そうした場合は、おそらく過去に感染はあったけれど、ほかの病気での抗菌薬を服用したことで自然に除菌された可能性があります」(平澤医師)

除菌は薬、2回目までに9割成功

ピロリ菌は、薬の内服で除菌する。用いられるのは、胃酸の分泌を抑制する薬と2種類の抗菌薬。これらの薬を同時に1日2回、1週間服用することで、約80%で除菌に成功するという。

使われる抗菌薬は基本的にペニシリン系だが、ペニシリンにアレルギーがある場合はペニシリン系以外の抗菌薬を使う。また、除菌の副作用として下痢になる人がいるため、あらかじめ整腸剤も処方される場合もある。

1次除菌で成功しない場合は1次除菌終了後、6カ月程度の間隔をおいて2次除菌が行われるが、これで約90%の人が除菌に成功する。2次除菌しても除菌が成功しなかった場合は3次除菌も可能だが、それ以降は保険適用にならないため、自費で受けることになる。

「ピロリ菌の除菌によって、胃がんリスクは約60%低下することがわかっています。胃がんで治療を受ける人の年齢は年々上がっていて、内視鏡治療を受ける人の平均年齢は75歳。ですから、70代でも除菌しておいたほうがよく、除菌の年齢として遅いということはありません」(平澤医師)

もちろん、ピロリ菌の除菌後で60%リスクが減ったからといって、安心というわけではない。

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