中国「残酷工場」は、すでに過去の話なのか 世界最大の労働市場には闇と曙光が並存

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とある工場の寮。外側から鍵を掛けて逃亡を防いでいる

企業の側もひどい。別の工場の寮では、労働者の“逃亡”を防ぐために、外側から鍵が掛けられるようになっている。

周辺にも鉄条網が張り巡らされ、まるで牢獄のような様相だ。ここで働く人たちは、仕事が終われば、寮に直行し、外から鍵を掛けられる。無断で外に出ることが許されていない。これらの行為はもちろん違法だ。 

ある時、このような工場で火災が起こった。労働者たちは逃げることができずに全員が焼け死んだ。あまりのひどさに言葉を失う。この東洋経済オンラインでも、以前に「ユニクロ"残酷工場"で何が起きているのか」で、日系企業の環境の悪さが取り上げられていた。

しかし、一部の中国ローカル企業、台湾・香港企業の環境は、さらにその上を行くという。これらの状況は少しずつ改善されつつあるが、経営者の側も、労働者の側も、モラルの乱れ、人権無視のひどさは想像を超えている。

中国の状況を変えようとしている企業も

このような中国の状況に対して、真正面から取り組み、変えようとしている企業に話を聞いてみた。富士ゼロックスである。

富士ゼロックスでは、自社工場で培ったCSRの活動を『取引先と共存共栄を目指したCSR活動』というスローガンのもと、サプライチェーン全体に広げて展開している。

「環境」「人権・労働」「企業倫理」に分類された約300の管理項目には「CO2削減」や「法令遵守」「腐敗防止」といった一般的ものに加え、「生物多様性保全」「人材育成の推進」など、先進国においても進んだ内容までを含んでいる。

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