SDR(Special Drawing Rights、特別引出権)は、1969年にIMF(国際通貨基金)が加盟国の外貨準備資産を補完する手段として創設した国際準備資産だ。SDRの価値は現在、ドル、ユーロ、ポンド、円の主要4通貨の加重平均(バスケット)で決められている。バスケットは通常、5年毎にIMF理事会で見直しが行われており、今年はその年にあたる。注目されているのは、通貨のバスケットの中に人民元が入るかどうかだが、10〜11月頃には結論が出るはずだ。
世界の貿易及び金融システムにおける通貨の相対的重要性を反映するように、SDRの通貨バスケットの構成は決められる。世界経済における中国経済の重要性が大きくなっているのは誰の目にも明らかだ。
世界のGDP(国内総生産)に占める各国のGDPの割合を見ると、1980年には中国は2.8%に過ぎず、アメリカの25.9%とは比較にならない規模だった。その後中国経済のシェアは1990年代後半から急速に拡大し、2010年には日本を抜いて世界第2位の経済大国になった。
IMFの予測では、2019年でもアメリカが21.8%を占めて第1位の経済大国の地位を維持するが、中国は15.3%とユーロ圏の15.4%にほぼ並ぶ見通しになっている。
購買力平価ベースGDPではすでに中国は世界一
通常は、その年の実際の為替市場のレートを使って各国のGDPを比較するが、為替相場の変動により順位も大きく動いてしまう。中国の場合には人民元の為替レートを政府がコントロールしているので割安になっていると考えられている。こうした問題を考慮して、IMFは購買力平価(PPP)を使った経済規模の比較も発表している。
PPPを使った経済規模の比較では、アメリカと中国のシェアは2014年にはすでに逆転し、中国経済は16.5%とアメリカの16.3%を抜いて世界一となっている。これからFRB(米国連邦準備制度理事会)が利上げを行なってドル高が進む可能性が高いので、実際の市場の為替レートを使った比較では、中国経済はなかなか世界一にならないかも知れない。
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