中国主導で設立、「インフラ投資銀行」の磁力 日米が距離置くも欧州諸国は続々と参加

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中国主導で設立を進めるインフラ投資銀行。2014年10月にアジアを中心とする21ヵ国で政府間覚書が調印された(写真:新華社/アフロ)

”ドミノ倒し”は3月12日、英国政府による発表から始まった。この日、同国は主要7カ国(G7)では初めて、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を表明。オズボーン財務相は声明文の中で英国企業へのメリットの大きさを強調した。

かねてAIIB構想に批判的だった米国政府は不快感を示したが、3月17日には仏独伊も参加を表明。AIIBをめぐってG7が真っ二つに分断される形となった。

アジア向けの開発金融機関としては日米が主導するアジア開発銀行(ADB)がある。日本ではAIIBの運営方針の不透明さへの懸念、審査能力に対する疑問を繰り返し表明してきた。だが、豪州も参加するとの報道が流れた3月20日には、麻生太郎・財務相が融資審査の透明性確保を条件に、参加の可能性を示唆。米国と比べても際立っていた厳しいトーンの修正を図っているように見える。

ADBだけでは対応できない?

AIIBの構想は中国の習近平国家主席が2013年10月の東南アジア歴訪時に発表したもので、アジア諸国のインフラ整備を支援するための新しい国際金融機関という触れ込みである。ADBではアジアのインフラ整備需要は今後10年で8兆㌦(約1000兆円)に及ぶと試算。ただ、審査基準が厳しく資金量も限られるADBだけでは、巨大なインフラ需要に対応しきれないというのが中国の言い分である。

そこで中国はアジアにおけるインフラ整備を目的に、資本金1000億㌦で国際金融機関を新設する。2014年10月には北京で中国を含むアジア・中東の21カ国がAIIB設立に向けた政府間覚書に署名した。中国は今年中にAIIBの業務開始を見込んでおり、6月には規約をまとめる予定だ。

銀行設立の指揮を執る楼継偉・財政部長(財務相)は3月6日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の記者会見で、「3月31日までに参加した国は創始メンバーになれる」としており、参加表明のデッドラインが近づいていた。これが現在、”ドミノ倒し”が起きている理由だ。

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