中国主導で設立、「インフラ投資銀行」の磁力 日米が距離置くも欧州諸国は続々と参加

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AIIBの設立構想をめぐっては、米国主導の戦後の国際金融秩序に対する中国からの挑戦という文脈で語られることが多い。だがそれは、隣接する国々との経済関係強化のために中国が準備する、「シルクロード経済ベルト」「21世紀海のシルクロード」開発という全体構想の一部でしかない。「一帯一路」と称されるこの開発構想こそ、習政権の経済・外交政策の目玉だ。

2014年12月には外貨準備や政府系銀行などによる共同出資で、「シルクロード基金」を400億㌦で設立している。設立を主導したのは、中央銀行である中国人民銀行。アジアでのインフラ建設・資源開発のための国家ファンドだ。

発破をかける習主席

習主席は2月10日に党内の会議で、シルクロード基金に関しては「できるだけ早くプロジェクト投資を展開せねばならない」、AIIBについて「急いで設立せねばらならない」と話し、担当部門に発破をかけている。この2つの機関は、シルクロード開発という習政権の経済政策を資金面で支えることを期待されている。

中国経済にとって最大の問題の一つが、国内で鉄鋼やセメントといった分野の生産能力が過剰になっていることだ。習主席は就任直後から、その解消を繰り返し唱えてきた。

市場原理による淘汰と内需拡大こそがその本道であることは言うまでもない。だが、いずれも時間がかかる政策であるため、海外需要の開拓に活路を見いだした。「この30年、国内でインフラ建設を大々的にやってきただけに、能力的にもコスト的にも中国企業には競争力がある」(総合商社の中国法人幹部)。

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