常識外れの「低金利政策」日本にもたらした功罪 教養としての金利や問題点を考える【前編】
その一方で、それが常態化してしまうと、金利が低くなければ維持できないような収益率の低い事業が淘汰されずに残り、新陳代謝が起きにくくなって経済の活力が失われていきます。いってみれば、低金利が続くことによって経済がそれに慣れてしまうのです。
また、低金利は財政支出を拡大させる効果をもちますが、財政支出の拡大もまた経済の生産性を低めることが多いとされています。
財政支出にもいろいろなものがあり、生産性を高めるような使い方も可能なはずですが、政策の多くはそのような観点からは策定されません。
とくに、経済を下支えするために財政出動の規模の確保が最優先されるような場合には、生産性の向上をかえって阻害してしまうような政策が多く含まれる可能性が増えていきます。
経済全体の成長力を弱める可能性も
もちろん財政支出には公共政策としての役割があります。たとえば所得を再分配し、格差の拡大を防ぐことはとても重要な政策課題であり、たとえ生産性の向上と相容れなくてもそうした政策はある程度必要です。
しかし、低金利によってそうした政策が膨れ上がって過大になると、経済全体の成長力を弱めてしまう危険性が高まります。
以上のように、低成長を打開するために積極的な金融政策を採用したのに、それが常態化することでかえって低成長を招き、それにより金融緩和をいつまでも続けざるを得ないという悪循環に嵌まるリスクがあるのです。
このことは、とくにいまの日本には当てはまることが多いかもしれません。
そしてもう1つ、非伝統的金融政策で懸念される弊害があります。
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