常識外れの「低金利政策」日本にもたらした功罪 教養としての金利や問題点を考える【前編】

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金融緩和政策が大転換を始めた2022年(写真: hellohello /PIXTA)
世界的に行われていた金融緩和政策が大転換を始めた2022年。そのカギを握っていたのが「金利」でした。国内でもYCC(イールドカーブ・コントロール)ほか、金融緩和策の一環としてさまざまな金利操作が行われてきましたが、その効果や、政策転換によってこれから顕在化するであろう問題点について、金融関連の著書が多い田渕直也氏の新刊『教養としての「金利」』から一部抜粋・編集のうえ、前後編にわけて解説します。

ゼロ金利政策、量的金融緩和政策、マイナス金利政策、そしてイールドカーブ・コントロール。次々に打ち出されてきたこれらの非伝統的金融政策は結局のところ、どれだけの効果があったのでしょうか。

この点についてはさまざまな議論があり、今後研究が進んでいくところもあると思います。

ただし、積極的な金融緩和を行えば望ましい物価上昇が実現できるはずだという当初のもくろみは、必ずしも期待したとおりにはなりませんでした。

物価上昇の背景

2022年、日本経済はおよそ40年ぶりという物価上昇に見舞われていますが、これは過去長年にわたって行ってきた金融緩和政策の効果によって日本経済の基礎体温が上がってきたことによってもたらされたと評価できるものではありません。

それは、あくまでも海外の物価上昇圧力や急激な円安など、予想外の外生的要因によってもたらされたものです。

では、これらの政策にまったく効果はなかったかというと、そうとも言い切れないでしょう。たとえば日本の株価はここ十年で大きく上昇してきました。

その背景には企業利益の増加があるのはもちろんですが、金融緩和が下支え役を果たしたことも間違いないでしょう。金利と株価の関係は大雑把にいうと「金利が下がると株価は上がり、金利が上がると株価は下がる」となりますが、ここでは追加で2点を挙げておきます。

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